映画評「網走番外地」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1965年日本映画 監督・石井輝男
ネタバレあり

二回目か三回目か。後半を別にするとそう面白く見た記憶はないが、石井輝男が監督だから要再鑑賞。近年観た「地帯(ゾーン)」シリーズのようなジャンル映画らしい楽しみ方ができるのではないかと期待したのである。WOWOWでは石井監督による全十作を放映するが、多分3作目まで今回は観ることになると思う。

母親(風見章子)の再婚相手がろくでもない男である為ぐれて上京した主人公・橘真一(高倉健)は、ヤクザの鉄砲玉として傷害事件を起こし北海道の網走刑務所へ送られる。妻木弁護士(丹波哲郎)は保釈に奔走してくれるが、刑務所の強者たちに脱走に協力するよう持ちかけられる。妹から母親が重病であるという手紙が届く。保釈若しくは釈放の日も近いが、その間に母の身に何かがあると思うと気が気でない。葛藤するうちトラックでの移動中に手錠で繋がれた権田(南原宏冶)が飛び降り、無理やり脱走に付き合わされることになる。

前半の殆どを占める刑務所内の描写は一部興味深いところがあるものの、昔の記憶通りさほど面白からず。現在部分と回想場面との往来、健さん自ら歌う主題歌が3回も挿入され、この辺りどうも野暮ったい。後半いよいよ脱走が本格化するところからアクション映画として俄然面白くなるのである。

最初の計画を静かなベテラン囚(嵐寛寿郎)が橘のために潰す挿話もなかなか良いし、鎖で繋がれた二人が雪の中を逃亡するアクションは相当エネルギッシュで楽しい。手錠で繋がれた二人が脱走するのはアメリカ映画「手錠のまゝの脱獄」(1958年)からのアイデア借用で、逃避行中盤のトロッコ場面は「女王陛下の007」(1969年)を思い出させる。思い出させるのであって決して引用ではない。製作年度を比べれば、“引用”を指摘するallicnemaのC氏のコメントが不適切なのが解るだろう。

またC氏は“母親を先に入院させないとスリルが生れない”と言うが、スリルという意味ではその通りであるとしても、幾つかの挿話を考えると、石井輝男が恐らく一番重視したのは人の良い主人公の不運なのである。その為に彼が母親の入院や回復を知る前に脱走させる必要があるわけでござる。

大学時代、友人が「女王陛下の007」の主題歌がいいねと言っていたのを思い出す。彼は出版社のダイヤモンド社に入ったが、まだやっているだろうか?

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