プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「ダンケルク」(2017年)

<<   作成日時 : 2018/06/30 09:01   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 5 / コメント 0

☆☆☆(6点/10点満点中)
2017年イギリス=オランダ=フランス=アメリカ合作映画 監督クリストファー・ノーラン
ネタバレあり

1964年に作られたフランス映画「ダンケルク」と同工異曲の戦争映画。この旧作は2回観ている。ジャン=ポール・ベルモンドがまだ少女と言っても良かったカトリーヌ・スパークと親しくなって悲劇に終わるというお話でしたかな。

ダンケルクでの英仏連合軍退却は戦争通にはよく知られる逸話(1940年)だが、退却・撤退という誠に勇ましくないお話だけに、クリストファー・ノーランが監督でなかったらそれほど話題にもならなかったであろう。
 恐らく1番最初にこの退却を取り上げたのはウィリアム・ワイラー監督「ミニヴァー夫人」である。戦争中の1942年製作で、ヒロインの夫が船を駆り出して活躍する挿話がある。本作で言えば、マーク・ライランスが演じる民間人船長がそれに相当する。

本作は、一日間の救出活動を描くこの挿話を含めて、3つの挿話で構成されている。残るうち、一つは陸上で待ち受ける兵隊たちを本格的に移送する一週間の作戦部分、もう一つは英軍戦闘機スピットファイアに乗るトム・ハーディーの空中戦を軸にした一時間の出来事。
 例えば、ハーディーの戦友が着水した後ライランスの船に救われるなど当然関連があるわけだが、扱われる時間の長さが違うように、一見同時進行のように見えて実は違う。これは序盤に出て来る英語字幕さえよく観ていれば解るはず。

さて、並行描写という手法にままあることであるが、上手くこれを構成しないと気勢が殺がれることがある。本作の場合、全体としては画面の構図よろしく臨場感のある場面が続くが、違うエピソードに移ることでそれを途切れさせるところが幾つか出て、ノーランとしては演出ではなく、自身で書いた脚本のほうが余り上手く行っていない印象を受ける。

近年の欧米の戦争映画はリアリティーを求めすぎ、個人的には余り面白く見られるものが少なく、世界的に評判の良い本作も例外ではない。
 翻って日本の戦争映画は昨今マンガ的なヒロイズムに傾倒、戦争における人間の行動を美化しすぎてこれもまたダメである。だから“戦争って格好良いじゃん”などというわけの解らぬことを言う若者も出て来る(恐らくゲームの影響もあるだろうが)。“退却”を“転進”と言い換えたのも戦時中のこざかしい美化と言うべし。誤魔化しという意味では現在の放送自粛用語等の言い換えに近いが、それとはまた違う厭らしさがある。

アメリカのポリティカル・コレクトネスが言葉の修正を超えて、行動において異様な様相を示しているらしい。最近もマット・デーモンが「セク・ハラにも幅がある」と言ったら旧作のカメオ出演の場面がカットされたという記事を読んだ。元NHKキャスターの木村太郎氏は、これが余りに行き過ぎている点に着目、反動としてトランプが勝つことを予想したと言う。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(5件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
「ダンケルク」(1回目)
ドイツ軍の飛行機は不足していたのか? ...続きを見る
或る日の出来事
2018/06/30 10:12
「ダンケルク」 (2017)
2017年・アメリカ 配給:ワーナー・ブラザース映画 原題:Dunkirk 監督:クリストファー・ノーラン脚本:クリストファー・ノーラン音楽:ハンス・ジマー製作:エマ・トーマス、クリストファー・ノーラ ...続きを見る
お楽しみはココからだ〜 映画をもっと楽し...
2018/07/01 21:26
「ダンケルク」☆ダンケルクスピリット
ハンパない臨場感で、泳げない私は観ている間に何度溺れ死んだことか・・・ ただの歴史もの的戦争映画ではなく、ひとりのヒーローを描く歴史エンターテインメントでもない。 多くの一般の人たちが自らの命の危険も顧みず救助に貢献する姿に、思わず温かい涙が目に滲むのだ。 (ラストに言及しています) ...続きを見る
ノルウェー暮らし・イン・原宿
2018/07/07 22:35
『ダンケルク』('17初鑑賞104・劇場)
☆☆☆☆☆ (10段階評価で 10) 9月12日(火) 109シネマズ大阪EXPO CITY シアター11にて 12:40の回を鑑賞。   次世代レーザーIMAX 2D:字幕版。 9月19日(火) OSシネマズ神戸ハーバーランド スクリーン1にて 13:50の回を鑑賞。  通常上映 2D:字幕版。 ...続きを見る
みはいる・BのB
2018/07/10 15:19
ダンケルク
第二次世界大戦中の1940年。 ナチスドイツのフランス侵攻により、40万人ものイギリスとフランスの連合軍兵士たちは、ドーバー海峡に面したフランス北端の港町ダンケルクまで追い詰められていた。 圧倒的な数のドイツ敵軍が迫る中、民間船までもが関わった史上最大の救出作戦が動き出す…。 実話から生まれた戦争アクション。 ...続きを見る
象のロケット
2018/08/15 16:19

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「ダンケルク」(2017年) プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる