映画評「ディーバ」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1981年フランス映画 監督ジャン=ジャック・ベネックス
ネタバレあり

ジャン=ジャック・ベネックスは最近とんとご無沙汰だが、ポップ・アート的なのにどこかクラシック趣味もあるタッチがお気に入り、このデビュー作に始まって映画館で観ることが多かった。この監督の、甘すぎないロマンティシズムの発露も好きだった。

若い郵便配達夫ジュール(フレデリック・アンドレイ)は、大変なオーディオ・マニアで声楽ファン。女神のように崇めている声楽歌手シンシア(ウィルヘルメニア・フェルナンデス)の公演を密かに録音し、ついでに楽屋に寄った帰りにローブまで奪ってしまう。彼女はレコードを出さないので、やがて存在が発覚した彼のテープを狙って台湾のレコード会社が絡んでくる。

というのがストーリーの一つ。これと並行して、

直後に殺される売春婦が元締めの殺人課刑事サポルタ(ジャック・ファブリ)を訴える為に記録したカセット・テープをジュールのバイクに投げ込んだことから若者は暗黒街の事件に巻き込まれる、というサスペンスが進行する。

特に後者に大きく絡んでくるのが、知り合ったベトナム人少女アルバ(チュイ・アン・リュー)が身を寄せる正体不明の芸術家もどきゴロディシュ(リシャール・ボーランジェ)。

二つの全く関係し合わないテープが絡み合って、片方の事件によりもう一方の事件の関係者の運命が左右される辺り、なかなか洒落ている。サスペンスとして強烈なのは勿論売春組織をめぐるテープの争奪戦のほうで、主人公が殺し屋二人に追いかけられバイクで逃げる場面の処理がアクション的に鮮やか。ミニ・バイクで駅構内から列車の中まで入って行くという見せ場がCG隆盛の現在でも余りない趣向で実に面白いデス。

出て来る登場人物が非常に個性的でよろしく、特に欧州人好みの黒人プリマドンナの色気、ベトナム人少女の天衣無縫さが楽しめる。本作のロマンティシズムはウィルヘルメニア・フェルナンデスに負うところが多いと特筆しておきたい。

個人的には、僕自身がオーディオ・マニア(ほぼ過去形)なので、ブライアン・デ・パルマ監督「ミッドナイトクロス」でも活躍したナグラのデッキや大型オープンリール・デッキの数々に目が釘付けだった。

因みに、我が家にはソニー、アカイ、ティアックの日本三大メーカーのオープンリール・デッキがある(但し、もう動かない)。

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