映画評「LOGAN/ローガン」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2017年アメリカ=カナダ=オーストラリア合作映画 監督ジェームズ・マンゴールド
ネタバレあり

マーヴェル映画の中でも「X-メン」シリーズは面白く、スピンオフの「ウルヴァリン」シリーズも高品位である。138分の長尺だが、お話の構図は非常にシンプル。シンプル故に力強い作品になった見本と言うべし。

ミュータントが政策的に滅ぼされ続けている2029年、ウルヴァリンことローガン本名ロバート・ハウレット(ヒュー・ジャックマン)は、体力の衰え著しく、身体から死の呻き声が聞こえている状態。メキシコ国境近くでリムジンの運転手をしながら、老衰の進むプロフェッサーX(パトリック・スチュワート)の介護をしている。
 そこへアメリカ当局が関与する在メキシコの人間兵器製造施設に勤めていたメキシコ女性が現れたことから、彼の精子から生まれた娘ローラ(ダフネ・キーン)をカナダ国境に程近いノースタコタ州の森林地帯に作られたコミュニティーに送り届けることになる。何となれば、人工的ミュータント生成に成功した当局が、感情を持つ為に不都合な自然発生ミュータントを処分しようと追いかけて来るからである。

執拗に行く先々に現れる敵を退けながら如何に所期の目的地へ辿り着き、さらに(自然発生ミュータント全体として)カナダへ逃れることができるか、というロード・ムービー型のアクション大作だが、アクションの見せ場が豊富で、しかも緩急自在に実に面白く見せてくれる。見せ場も似たようなものの繰り返しではなく、創意工夫に富む。僕が信用するジェームズ・マンゴールドが脚本を担当(共同)し、監督をしただけのことはある。

アクションでは、ローガンの血を引いたローラの恐るべき素早さと強さが印象的。体操選手のような運動能力のある小柄な女性スタントでも起用したのだろうが、見応えたっぷり、ローガンも形無しだった。それをカメラがきちんと捉えているからそれも生きるのである。

内容面についても、親子の感情という要素を絡めて、差別の問題と兵器製造の現実問題を実に上手く消化している。それもアクション描写が良いからこそ。だらだらやられたらそんな問題意識は下手な作劇のおためごかしに終わってしまう。

「シェーン」の引用あり。Allcinemaにあった“「炎の少女チャーリー」meets「キック・アス」”というコメントは、僕も全く同じことを思いましたな。

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この記事へのコメント

2018年03月31日 18:13
ヒュー・ジャックマン=ウルヴェリン を終わらせるにふさわしい、素敵な作品でした。
オカピー
2018年04月01日 18:07
onscreenさん、こんにちは。

そうですね。
娘が十字架を置き換えてXの字に見せる辺りも、洒落ていました。

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