映画評「T2 トレインスポッティング」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2016年イギリス映画 監督ダニー・ボイル
ネタバレあり

時代はパンクではなかったがパンク的で、麻薬が絡んでいて一般的な意味とは違うがサイケデリックな映像が強い印象を残し、好みではなかったものの高く評価をした青春映画の20年ぶりの続編である。

監督は変わらずダニー・ボイルで、登場人物が年を取り麻薬が大分抜けていることもあって麻薬幻想的な映像は減ったとは言え、独特の画角に共通するところが多い。正編のお話については殆ど忘れているので、本作についてのみ言及する。

グループ犯罪で得た大金を独り占めしてオランダに行ったユアン・マクレガーが本国エジンバラに帰郷、ブルガリア女性アンジェル・ナディヤルコーヴァにカフェのマダムを任せようとしている悪友ジョニー・リー・ミラーと手を組み、ひとかどの仕事をしようと役人に接近する。ミラーは美人局(つつもたせ)的に秘事を撮影して恐喝したりもしている。ジャンキー度が高いユエン・ブレムナーは妻子と会えない日々に絶望して自殺を試みるが、マクレガーに止められ、グループの行状を綴った小説を書き始める。娑婆に出る為に仲間に腹を刺させ入院した病院から脱走した元メンバーで暴力的なロバート・カーライルは、徹底したくずぶりを発揮、トイレで遭遇したマクレガーを追いかけ回すが、結局一致協力した三人に警察へ突き出される。アンジェルはブレムナーに、マクレガーらが怪しい企画で【濡れ手で粟】的に取得した10万ドルを妻子に送らせ、自らは帰国する。

登場人物が相変わらずのくずぶりで、それでいて若い頃のように未来を見ることができない現状に、僕ら初老の人間は悲哀を感じないでもないが、反面、画面と彼らの様子とが必ずしもマッチしていない印象を伴う。20年前には格好良いと思われた映像が、少し古く感じられるのも時の流れと言うべきか。僕の持論であるが、オーソドックスな画面の方が古びないのである。

そして構成的には、本作もまた、最近妙に多い、登場人物が書いている小説の内容を見せる入れ子構造と見なすのが適当。それ自体ここ半年で5本くらい見ているので、現在ではプラス材料と見なすことは出来ないが。

英国の移民問題がチラホラ。親しく話すことが多くなったマクレガー似の英国人は本当に移民を嫌がっていた。余り政治的になってもいけないのでそれ以上突っ込まなかったものの、メディアが報じない厳しい現実を感じるのである。

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