映画評「パシフィック・ウォー」

☆☆(4点/10点満点中)
2016年アメリカ映画 監督マリオ・ヴァン・ピーブルズ
ネタバレあり

太平洋戦争に詳しい方には有名な逸話なのであろうが、現代史には殆ど興味がない僕は全く初めて知る話である為、観て損をしたとは思わぬものの、二人組の脚本がお粗末、監督マリオ・ヴァン・ピーブルズの展開ぶりも無気力。調べたところ脚本の二人は製作が本業で、脚本の実績がない。いかにも素人っぽい作劇ぶりもむべなるかな。

1945年7月末、原子爆弾2機をテニアン島に運んだ重巡洋艦USSインディアナポリスがその帰途、日本軍の潜水艦の魚雷攻撃により沈没、900名近い乗員が一応の生存を見るが、衰弱やサメに襲われるなどして、五日後に米軍に救出活動が終り最終的に生還したのは316名に留まる。
 しかし、艦長チャールズ・マクヴェイ3世(ニコラス・ケイジ)は終戦後の軍事裁判により、日本軍人の証言にもかかわらず、攻撃を回避するジグザグ運動を行わなかったかどで有罪になる。そして、十数年後、生存者家族に責められるのに堪え切れず自殺を遂げる。

というお話は実話ながらフィクションであるかのように劇的であるが、見せ方が悪すぎる。最終的には艦長の悲劇を以って終わる内容から判断するに、一人の女性を巡る二人の若い軍人の描写は不必要に長く、それ以上にひどいのは、沈没した後に延々とサメに襲われる恐怖を描き続け、ジャンルを逸脱してしまうことである。サメへの恐怖が死者を増やした旨Wikipediaにあるので、描くことは全く問題ないが、構成上のバランスが誠に悪く、また「ジョーズ」もどきの動物ホラー的描写は映画のトーンを崩す。その代わり遭難までの模様と、裁判の模様はもっとじっくり描かなければならなかったであろう。

それが出来ていないから終盤近くまで何を見せたいか不鮮明になり、最終的に見せたかったのであろう艦長の悲劇性が鮮やかに結晶化しない。ごく稀に色々な要素がごちゃまぜになることが相乗効果を生み、強いインパクトを残す作品になることもあるが、殆どの場合は散漫化して失敗作に終わる。

最近☆☆(やや水準に及ばず)をつけることが少ない。映画の水準が下がっているので、少し採点を甘くしているからだが、これは躊躇なく行けた。脚本の完成度のみで言えばもっと低くても良いくらい。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック