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zoom RSS 映画評「海は燃えている〜イタリア最南端の小さな島〜」

<<   作成日時 : 2018/02/27 09:07   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2016年イタリア=フランス合作映画 監督ジャンフランコ・ロージ
ネタバレあり

僕には余りピンと来なかったが母国で高く評価されたらしい「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」というドキュメンタリーを作ったジャンフランコ・ロージの新作ドキュメンタリーは、劇映画とドキュメンタリーという違いはあるが同国の「海と大陸」と同工異曲である。

かの劇映画の舞台はイタリアのリノーサ島、本作の舞台はその少しだけ南に位置するランペドゥーサ島。テーマはこの島に直接的には北アフリカから、実質的にはアフリカ中部から遥々欧州を目指してやって来る大量の難民たちである。中には中近東から迂回して逃れて来る人々たちもいるようだ。

「そうだ難民しよう!」という難民を殆ど受け入れてくれない我が国から発表された軽薄な風刺イラスト(?)があるが、そういう偽装難民もごく一部にいると想像されるとは言え、ごく一部を以ってそれがあたかも全体であるようにミスリードして誹謗中傷する(作者は恐らく否定するだろうが、この類の保守的な批判は一部ではなく全体を指すことが多い)のは、そのごく一部について正論であったとしてもいかんだろう。その伝でいけば、作者のような少数日本人を以って日本人全体が難民を批判的に捉えていると理解されることになる。いかに程度の低いことであるか解るであろう。風刺するにも節度が必要で、その対象は国や民族を問わず権力者や国家であるべきだ。弱き者は風刺の対象にすべきではない。

この島に過去20年間に押し寄せた難民は凡そ40万人、そのうち3.7%に当たる15000人が死んでいる。アフリカ中部から時間をかけて移動し、死を覚悟してまでやって来る人の中に偽装難民はいないだろう。

さて、ドキュメンタリーには大きく分けて二つの種類がある。一つは自分の主張を効果的に見せる為に構成するタイプ、一つは即実的に観照的に見せる映像詩のタイプである。
 ロージ監督が作る作品は紛うことなく後者で、本作でも、全体の70%以上は島に住む小学高学年くらいの少年とその家族の日常を生活詩的に綴っている。その狭間に誠に厳しい環境下にある難民と彼らに関係する人々の様子が映し出されるだけで、それについて作者が何かを言うことはない。冒頭に難民に関する数字が出るだけである。

死を賭して海を渡るからには、アフリカの暗黒大陸(差別用語とされることもある言葉だが、人の生命が概して相対的に軽んじられているのは事実だろう)たる所以がまだまだあるということを想像させ、誠に暗然たる気持ちにさせられる。
 少年の描写の絶対分量の多さは、平穏な日常のすぐそばにこうした目を覆いたくなる現実が厳然と存在しているということを表現する為に考えられたにちがいない。

「ローマ環状線」の時に、観照的に対象に接近する劇映画と区別がつかないと述べたが、本作でも前作以上にそういう印象をもたらす。Allcinemaにも、ネオ・レアリスモと似たものを感じるというコメントがあり、我が意を得たり。

「国境は燃えている」というイタリア映画もありましたね。

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