映画評「将軍たちの夜」

☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1967年イギリス=フランス合作映画 監督アナトール・リトヴァク
ネタバレあり

好きな人は好きであろう、埋もれた秀作である。多分3回目の鑑賞。

1942年ナチス占領下のワルシャワで、娼婦が殺される。ナチスの憲兵オマー・シャリフが捜査をした結果、同地にいる3人の将軍、即ち、司令部のチャールズ・グレイ、ドナルド・プレズンス、現場の指揮官ピーター・オトゥールが容疑者に絞られる。シャリフは、刑法に違反する者は軍上層部であろうと逮捕しようという真面目な軍人で、2年後パリで類似事件が起きるとレジスタンスのフランス警官フィリップ・ノワレと協力し合って、犯人に接近していくが、犯人に射殺される。
 23年後国際警察の警部となっていたノワレは相変わらず犯人を追い続け、類似事件がまた起きたのに乗じてドイツの警察と共に犯人に引導を渡す。

というミステリーで、戦時中のお話を1965年にノワレが関係者を歴訪する形で辿っていく、一種の回想形式で進行するわけだが、昨今の作品のように回想らしい回想として扱わない為、現在の若者には多少馴染みにくいであろうし、同時に(相対的に)じっくり撮っているので、世代的に気の短い彼らにはお勧めできない。

殺人のミステリーに加えて、ヒトラー暗殺を図った有名なワルキューレ作戦を見せるサスペンス性もあり、これが捜査にも影響を与え、シャリフが殺されてしまうのもそれ故、といった具合に実にお話の緊密度が高いので、ベテラン映画ファンは楽しめるはずである。

ここまで犯人をぼかして来たが、作者が唯一本格的に性格描写をしていることを根拠にオトゥールが犯人であることは比較的早いうちに解る。つまり、倒叙的に官憲がいかに彼に接近するかを見せるのが眼目となる。実際オトゥールは二番目の犯行で、運転手トム・コートネイに罪をなすりつける細工をした上で、彼を逃亡させている。勿論これは後段への伏線で、彼と恋に落ちたグレイの娘で23年後すっかり農家の主婦に落ち着いていたジョアナ・ペティットが再登場した時にからくりが解る。敢えて詳細は言わないものの、大概想像がつくと思う。

既にベテランだったアナトール・リトヴァクの作品では一番に推したい(全く逆の意見がAllcinemaにあるけれど)。

アメリカ映画全盛期を支えた監督に移民が多いと書いたばかりだが、リトヴァクもロシアからの移民。

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  • 将軍たちの夜

    Excerpt: 42年、ワルシャワ。 女性が次々に変死する猟奇事件が起こる。 ドイツ憲兵の少佐がこの事件の解決にあたる。 少佐は目撃証言から3人の将軍に的をしぼる。 Weblog: 象のロケット racked: 2018-01-10 16:49