映画評「ANTIPORNO アンチポルノ」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2016年日本映画 監督・園子温
ネタバレあり

ロマンポルノ・リブート・プロジェクトの作品の中で一番面白く見られたし、急激に多作化したここ5年くらいの園子温監督作品の中では一番アナーキーで興味深く、結果的に楽しめる。

カラフルな部屋で目を覚ました女流小説家にしてアーティスト冨手麻妙が、スケジュールを伝えに来たマネージャーの向井真理子を犬扱いにして徹底的にいじめ抜き、そこへ予定通り雑誌関係者が取材しに訪れる。
 突然男の声がかかりこれが映画撮影中と解る。その瞬間に立場は替わり、新人の麻妙嬢は徹底的にベテラン女優の向井女史にいじめ抜かれる。
 しかし、再び同じような場面が繰り返されると、今度は部屋が舞台上になっている。
 いずれにしても関係者に叩かれて高校生の彼女は家に戻り、両親にポルノ映画に出ていることを告げると、勿論大目玉を食らう。面白くないので通りがかりの男にセックスをしてもらい、それを撮影する女子グループがいる。それが撮影中の女流小説家の部屋でプロジェクションされるポルノ的な映像である。話は円環する。

ということは虚構かと思った撮影中の場面が現実であるかもしれず、かくして現実と幻想との区別が全く出来ないお話であることが観客に解ってくる。
 アンチポルノというだけでなく作劇そのものをテーマにしたメタフィクション的なアンチロマンと言いたくなる次第で、「作者を探す6人の登場人物」の着想にも似て、登場人物が自らのアイデンティティーを求め若しくは主張するお話のように思えると同時に、「出口なし」という台詞から想起される「出口なし」の作者サルトルが主唱した実存主義を物語として具体化して園流に見せたような気にもさせられる。

これがある程度内容を理解させようという意図が感じられれば“独り合点”と一蹴するところだが、ここまで好き勝手にやられると却って独り合点が意味を成してしまう。それが芸術映画の定義であろう。

園子温の「夢は夜ひらく」でした。若い人に説明せねばなるまい。宇多田ヒカルのお母さん藤圭子に「圭子の夢は夜ひらく」という曲がある。この曲の原曲が「夢は夜ひらく」で、競作となったこの曲で一番有名なのが園まりという歌手のもの。“園”つながりということです。

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