映画評「アサシン クリード」

☆☆(4点/10点満点中)
アメリカ=フランス=イギリス=台湾=香港=マルタ合作映画 監督ジャスティン・カーゼル
ネタバレあり

邦題に関して、僕は措辞について余り問題にしないが、文法的なことには文句を言いたくなる。本作の場合は、スペースである。文章でないものにおけるスペースは単語の区切りを示すのが原則なので、半角のスペースであろうとそれを連続するものと読ませようとするのはいけない。明治以降先人が工夫して出来た句読点等のルールを21世紀になって崩そうとしている感じがする。

日本独自の問題はさておいて、歴史劇かと思って見始めたら、広い意味のSFと時代劇のハイブリッドであった。実際には、ゲームの映画化で、科学未満としか思えず、IMDbの分類もアクション、冒険となっている。むべなるかな。余り気が進まないが、ひとまずお話をば。

殺人の罪で死刑になったマイケル・ファスベンダーが、とある施設で目を覚ます。ここでは、研究者マリオン・コティヤールが人間から暴力を一掃することができるか実験をしている。彼は、人間の自由意思を支配できるエデンの果実を巡って15世紀末(レコンキスタが終焉する1492年のスペインが舞台)キリスト教系のテンプル騎士団と抗争するイスラム系アサシン教団の殺し屋として活躍したアラギールの子孫であることが判ったために、他の人員と共に被験者に選ばれたという次第。
 ある装置に繋がれると遺伝子が記憶している事件を追体験できるのだが、本人にしてみれば実体験をしていることになるらしい。マリオンは人間からの暴力一掃を狙っているが、財団のリーダーたるその父親ジェレミー・アイアンズは権力を握るためにエデンの果実を狙っているだけなのである、云々。

実体験としての部分は通常の時代アクションの意味しかなく大して面白味がない。実験室での実像では、空中で一人で暴れまくっているのを眺めているだけで更に視覚的な面白味がない。
 キリスト教の解釈では、エデンの果実が人間の原罪の原因となったわけだし、人間には本当は意思の自由がない(神が全て決めている)ので、この果実と自由意思との関連は解らなくはないものの、それと暴力一掃との関係はさっぱり解らない。キリスト教に興味のない人にはもっと意味不明になるだろう。

潜在能力的にはともかく、お話が熟し切れていず、映画にするところまでレベルが達しているとは思われない。

否定的であろうと肯定的であろうと、原作との異同を映画の評価の直接的な理由とする愚。異同は検討する価値があるにしても、原作知らずの一見の映画ファンには全く関係ない。原作ファンの主眼は、映画を評価することではなく、原作(の価値)をどう貶めていないか追究することにある。そんなものは、勿論映画評にあらず。

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