映画評「サム・ペキンパー 情熱と美学」

☆☆★(5点/10点満点中)
2005年ドイツ映画 監督マイク・シーゲル
ネタバレあり

近年映画関係のドキュメンタリーが目立つ。しかし、本作は、登場する俳優たちの年齢から言って撮影されたのは主に90年代と思われる。何故今頃なのかと思っていたら、作られたのが2005年で、日本での公開に時間がかかったにすぎなかった。加えて、この手の作品は取り上げられる映画関係者の当事国の製作でないことが多く、本作はドイツ製である。興味深い現象ではあるものの、理由はよく解らない。

ドキュメンタリー映画が取り上げる映画監督は、当たり前だが、反骨的な人物ばかりである。政治体制ではなく映画界、具体的には映画製作会社や製作者に対して反骨的ということだ。
 ペキンパーの反骨ぶりは作られた作品から推測される通りに非常にストレートだが、後年やけくそ気味になって麻薬に逃避する話など型通りの人生で意外と面白味がない。

映画監督の人生を振り返る作品のフォーマットに従って、時期を追って作品ごとに紹介されている。その監督の作品を余り観ていない人にとって、この構成は大変便利で役に立つはずだが、僕のように最初の凡作西部劇「荒野のガンマン」から全て観ている人間には、こういう編年体より主題ごとに見せてくれたほうが参考になるのだが、なかなかそういう作り方の作品は見当たらず、ほぼないものねだりになってしまう。

本作で一番興味深かったのは、実の妹さんから紹介される出自の話。山の生まれである彼が西部劇を多く撮ったのは、父親と故郷への思いがずっとあったからだろう。ヒッチコックにとって警察へのトラウマがサスペンス映画を作り続けるモチヴェーションになったのと似たようなものではないかと思う。

ドキュメンタリーとしては、椅子に座った証言者が次々と出てくる型通りの作り方で、平凡と言うしかない。ペキンパーが好きなら(好きでも)見た方が良いとも悪いとも言い切れないもどかしさを覚える。

映画監督のドキュメンタリーが多いのは、映画監督で映画を見る時代は終わったということの逆説的現象じゃないか?

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