映画評「キングコング:髑髏島の巨神」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2017年アメリカ=中国=オーストラリア=カナダ合作映画 監督ジョン・ヴォート=ロバーツ
ネタバレあり

「美女と野獣」「オリエント急行殺人事件」等々、同じ素材の再登板が最近やけに目立つ。メジャー映画の古い素材とVFXに頼る甘えた思想が僕は気に入らない。僕がタクシーの代わりをしている近所の人は「映像が新しくなっている(から良い)」と言う。しかし、「それ(VFX頼り)がいけない」と僕は言っているのだ。同じ素材が扱われるにしても、世代が入れ替わる30年くらいは最低限必要だろう。
 「美女と野獣」はディズニー・ファンから不当な批判を浴びたご本家フランス版が作られて間がなく、このキング・コングも圧倒的な完成度を誇るピーター・ジャクスン版(2005年)が作られて12年しか経っていない。本作は中国資本が入っているし、昨今のアメリカ製大作の例に洩れず中国大衆をターゲットに作られているはずだが、そんな事情はともかく、スペクタクルの話題作として再三見せられる日本の映画ファンにはたまったものではない。
 と言っても日本の大衆もそれに乗せられて、何の批判精神もなく、大喜びで観る。誠に困ったものだ。といった次第で、うんざり感の強いまま見始めたが、色々な要素をつぎ込んで退屈はさせない。一応褒めておきましょ。

1944年の太平洋の孤島、リー・マーヴィンと三船敏郎が一騎打ちする「太平洋の地獄」そっくりの場面から始まる。
 1973年モナークという特務機関に属するジョン・グッドマンらの学者やそれを護衛する軍人トム・ヒドルストン、女性報道写真家ブリー・ラースンらから成る調査隊がその謎の島に派遣されることになる。さらにサミュエル・L・ジャクスン率いる特殊部隊が既に護衛のいる調査隊を守るという変な任務で加わっていざ上陸。
 落ち着く間もなく巨大ゴリラのキング・コングに襲われ一部兵隊が行方不明になる。さらに他の生き物に次々と襲われるうちに、28年間行方不明となっていた軍人ジョン・C・ライリーが原住民と共に現れ、一行に島の状況を説明する。
 ライリーやヒドルストンらはコングが他の怪物をやっつける島の神であって守るべきと主張する。対して、復讐に燃えるジャクスンがまずやっつけると意気込んでコングを仕留めようとしているところへ恐竜風の大型怪物が現れ、ジャクスンを平らげてしまう。ライリーらの言う通りコングは恐竜を仕留める。

ピーター・ジャクスン版に倣ってコング以外にも大型生物がうようよいてまるで「巨大生物の島」最新版の趣き。それをベトナム戦争映画とハイブリッド化して見せるのが前半の眼目らしい。なかなか賑やかで、60年代後半から70年代初めのロックがかかる「地獄の黙示録」以降のベトナム戦争ものの定石をも踏襲している。
 コングがブリーを助ける一幕などは従来の「キング・コング」に準じているが、終盤は日本製怪獣映画へのオマージュ風になって怪獣映画ファンは喜ぶかもしれない。

エンド・ロールが終わった後小話を紹介するマーヴェル・コミック風の見せ方をしていて、場合によってシリーズ化ができそうな感じもある。映画としての風格で2005年版には全く及ばないが、B級映画趣味を楽しむには良い。その限りでは上出来の部類と言うべし。

This is the end, beautiful friend...とはならない。柳の下にどじょうがうようよ。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2018年01月12日 17:25
この映画は、日本の怪獣映画(ゴジラなど)やロボットアニメ(ガンダムなど)のオタクであるトーマスタルが『パシフックリム』に続いて資金を注ぎ込んで作った怪獣映画なんでありますな。
近々には『キングコング対ゴジラ』が制作される予定でありましたが、中国資本と提携したために会社を乗っ取られてCEOを追い出されたようで・・・・
中国本土で怪獣映画が作られるようでありますが、どうなることやらであります。
オカピー
2018年01月12日 22:20
ねこのひげさん、こんにちは。

>トーマスタル
>会社を乗っ取られて

「キング・コング」にかこつけた怪獣映画だったわけですか。
僕は、現物本位で映画を見ていますが、裏事情にも面白いものがありますね。
2018年01月18日 08:49
TBをひとつ間違えました。削除可です。
これ、2017年マイベストで7位にしちゃいました。単純に楽しいので。
TBはFC2に問い合わせの結果、開通。不通の理由を尋ねると、biglobe側の仕様が変わったらしいといっていましたが…。
オカピー
2018年01月18日 18:51
ボーさん、こんにちは。

>2017年マイベストで7位に
採点はまあまあ留まりですけれど、面白かったですよ。

しかし、TBが入るようになって良かった、良かった!

僕のベスト10はアート系が多いですが、アート系を偏重しているのではなく、ジャンル映画に対するハードルが高く入ってこないだけなのです。

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