映画評「NERVE/ナーヴ 世界で一番危険なゲーム」

☆☆★(5点/10点満点中)
2016年アメリカ映画 監督ヘンリー・ジュースト、アリエル・シュルマン
ネタバレあり

恐らく原作はYA小説(原作者はジーン・ライアンとなっている)。余り現実的に捉えるとバカバカしくて観ていられなくなるが、馬鹿げたフィクションの向こうにスマホ時代の現実が透けて見えるので、それなりに観る価値はある。

母親ジュリエット・ルイスに逆らえない内気な女子大生(まだ入学前)エマ・ロバーツが、悪友エミリー・ミードにそそのかされて、視聴者からの指令をクリアするところを自ら操作するスマホによるライブ映像を証拠に賞金を戴くサイトに登録、見知らぬ男性とキスをするという最初の課題に挑戦すると、その後もキス相手となった若者デイヴ・フランコと縁ができ、やがて命がけの課題に発展、最後には殺し合いにまでなってしまう。

アメリカにはベッツ・アンド・デアズとかトゥルース・オア・デアという遊びがあるから、米国の若者はそのスマホ版のような内容に割合親近感が覚えるのではないかと思う。反面日本人にはピンと来ないところがあるかもしれないが、煎じ詰めるとIT時代というよりスマホ時代故の普遍的な危険性が抽出される。
 本作の場合お金が安易に入って来る代わりに、正体も解らず顔も見えない連中にごっそり取られてしまう。そもそも正体不明なのだから、どうにでも扱うことができる。多大な負担なしには足抜けもできないので、一種の詐欺みたいなものである。
 日本でも自殺願望のある女性8人がSNSを通じて初めて会った男の家に連れて行かれ殺される(最終死者数は関係者の男性を含め9人)痛ましい事件があったばかり。いくらでも本作からスマホ時代における見知らぬ人同士の(身体的・非身体的を問わず)接触による恐怖を味わえる次第である。

そこにローマ闘技場に代表される集団心理の怖さが重なって来る。これはとりわけアメリカのYA小説家が好きなシチュエーションで、最後は文字通りその再現となり、予想通りの結末を迎える。

映画的なアングルから面白がれる要素は少しもなく、社会学的に僅かに感興が湧く程度だから、大人の映画ファンが敢えて観るには及ばない。

「ミーハー映画ばかりだから、映画ファンは映画館に行かずTV等の有料プログラムにシフトしている」と義兄に言ったら、それを聞いていた家に近いほうの甥っ子が「それは逆」だと抜かした。しかし、彼にはリテラシーがない。僕が言ったのは映画ファンについてであって、今映画館に行くミーハーのことではないのだ。

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