映画評「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」

☆☆★(5点/10点満点中)
2016年アメリカ映画 監督ジョン・M・チュウ
ネタバレあり

第1作は、イリュージョン(大がかりのマジック)を利用した犯罪模様に新味があり、映画として許容範囲ぎりぎりのどんでん返しもイリュージョン式に素直に楽しんだが、この第2作は監督がジョン・M・チュウちゅう(という)監督に代わって調子が落ちた。ま、二匹目のどじょうによる新味不足が大きいので、監督のせいではありませんけどね。

僕は自前でストーリーを記すのだが、ややこしくてよう書けない。

ジェシー・アイゼンバーグ、ウッディー・ハレルスン、デイブ・フランコ、新入りの紅一点リジ―・キャプランから成るイリュージョンの四騎士(ホースメン)が集まって、CEOに催眠術をかけてIT企業の不正を暴こうとする。途中で邪魔が入り土管(脱出用シューター)で逃げ出す羽目になるが、何故か着いた先はマカオで、彼らの前に天才エンジニアのダニエル・ラドクリフが現れる。実は、前作で悪党側として登場したマイケル・ケインの私生児で、四騎士との間で文字通り虚々実々に駆け引きが繰り広げられる、といったところだろうか。

これに陰で糸を引くFBI捜査官マーク・ラファローと、彼らのせいで臭い飯を食うことになったトリック研究家モーガン・フリーマンが大いに絡んでくる。

目まぐるしくて考える暇を与えられずに、しかも人名でこんがらっているうちにお話はどんどん進み、アクション描写もあるが、基本は互いの騙し合いで、最後の最後にフリーマンの本当の正体が判る。それではこれで完結かと言うと、まだまだ作れそうな感じ。

イリュージョンを利用した犯罪という新味がなくなったのが最大のマイナス点だが、「オーシャンズ11」など組織犯罪ものの型を全く出ていないのも弱い。その点では第1作のほうが脚本の完成度が高い。

組織犯罪をモチーフにした本作で、ITによるプライバシー侵害への言及が出て来る辺り、アメリカ人は“愛国者法”に随分ショックを受けたことが伺われるが、僕は日本の官憲の性格からして“共謀罪”法のほうが将来大きな問題になっていくのではないかと危惧する。北朝鮮のミサイルより余程怖いよ。

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