映画評「真田十勇士」

☆☆★(5点/10点満点中)
2016年日本映画 監督・堤幸彦
重要なネタバレあり

TV「真田丸」も観なかったし、今のところ歴史小説も時代小説も好んで読んでいず、世界史に比べて日本史に疎い僕だから、歴史ファンとは違う見方になる。本作に近い内容のものは、中村(萬家)錦之助主演の「真田風雲録」というのを観ているので、真田十勇士について全く知らないわけでもない。

本作には珍説・新説が色々とあり、最初アニメで紹介される部分で、真田幸村(加藤雅也)が智将でも何でもないというのがその筆頭たるもの。そこで悪党・猿飛佐助(中村勘九郎)が知恵を授けて本物の智将にしてやろうと奮闘するというお話。その為に集めるのが、抜け忍の霧隠才蔵(松坂桃李)以下9名の訳ありの人物である。幸村は本物の智将になるが、大坂夏の陣で死に、淀君(大竹しのぶ)も城とともに消えていく。
 が、ここで再び新説で、淀君が必死に守ろうとした豊臣秀頼(永山絢斗)が大阪城を抜け出すのだ。その為に彼らが徳川家康らを騙す作戦が人を食った「スティング」作戦。

「真田風雲録」もミュージカル仕立てという変わり種だったが、本作もコミカルの要素を大量に投入した非本格派で、原作となった舞台で見たら面白そうな内容だが、対象が大衆であることは解るものの、この映画版は作品としての性格やトーンがころころ変わるので、漫画を目指したのか、劇画を目指したのか、講談を目指したのか、絵本を目指したのか、とんと見当がつかぬ。多様な要素・性格が上手く機能する作品もごく稀にあるが、残念ながら本作はその数には入らない。

アクションも今一つで、中途半端な細切れの劇画的カット割りで済ますのなら、もっとじっくりとオールド・ファン向けに撮ってほしかった。

元NHKアナの松平定知氏をナレーションに起用したのは、かつてNHKが放送した「その時歴史が動いた」のパロディーなのだろう。

アリストテレス曰く、「詩(演劇のこと)ではトーンが一貫しなければならない。性格が変わる登場人物は最後まで性格が変わる人物でなければならない」と。つまり、一貫しないことを一貫すれば一貫しているということになる。

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