映画評「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2016年アメリカ映画 監督ザック・スナイダー
ネタバレあり

スタッフ・キャストの顔ぶれから言って「マン・オブ・スティール」の続編で、相手となるバットマンは新装開店の形。バットマンはクリストファー・ノーランが強力な三部作を作ったので、暫く見納めで良いと思うが、まあDCコミックスのスーパーヒーローの夢のコラボというのが売りとなる。しかし、日本でもルパン3世とコナンが共演しているし、マーヴェル・コミックスでは「アヴェンジャーズ」などこの発想を先に実行しているので後塵を拝した。とは言いながら、日本人が一番知っている二大ヒーローの共演は貴重度が違う。シルヴェスター・スタローンとアーノルド・シュワルツェネッガーの共演同様、もっと早く実現していれば注目度も格段に違っていただろうに。

日本の怪獣映画よろしく街をかなり壊してしまったスーパーマン(ヘンリー・カヴィル)に対して、バットマンことブルース・ウェイン(ベン・アフレック)は愉快ならず、しかも、若き天才実業家レックス・ルーサー(ジェシー・アイゼンバーグ)の作戦に嵌ってスーパーマンの評価が益々下がっていく。
 ルーサーはスーパーマンが倒したゾット将軍(マイケル・シャノン)の遺体を利用して怪物を誕生させ、スーパーマンことクラーク・ケントの地球の母親マーサ(ダイアン・レイン)を人質に使って、バットマンと一騎打ちをさせようと企む。
 バットマンは相手の母の名前が自分の母親と同じマーサと知って気持ちを揺り動かされ、マーサ救出と共にルーサーを一致協力して倒すことを決意する。しかし、ルーサーの作り出した怪物は無敵、世界の動向を不安に思って現れた女傑ワンダーウーマン(ガル・ガドット)を加えて三人で戦うことになる。

監督は前作から引き続きザック・スナイダーで、動きが速すぎるアクションは幾らか見慣れてきたが、相変わらず動き回るだけでアクションとしての面白味がなく、ルーサーの作った生命体が怪獣みたいな怪物なので益々つまらない。巨大な悪役はもういい。

まだるっこいのに慌ただしいという半ば矛盾した印象が残る前半部分の方がお話としては楽しめるが、どうしてこの二人が(特にスーパーマンがバットマンを)かくも憎み合うのかが解りにくくて首を傾げたまま、クライマックスへ突入することになる。つまり、外枠では大して面白くない作品である。

しかし、評価に加味するには及ばない部分に面白さが少しある。アメリカ人の9.11へのトラウマぶり、危険地帯へ出向くジャーナリストへの想いを背景に揺曳させ、スーパーヒーロー特にスーパーマンの行動に見えるテロとの戦いにおける民間人の犠牲の問題を浮き彫りにしているように思われるということである。

トランプという、アメリカにとって大きな変化球が現れたので、今後4年の間に全く別のタイプの寓意映画ができるだろう。しかし、戦後の自由主義国家においてこれほど解りやすい嘘をつく政権は見たことがない。

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