映画評「牝猫たちの夜」

☆☆★(5点/10点満点中)
1972年日本映画 監督・田中登
ネタバレあり

WOWOWによるにっかつロマン・ポルノ45周年特集第2弾。
 知名度ではロマン・ポルノ第一作となった「団地妻 昼下りの情事」より落ちるかもしれないが、映画的には新宿のトルコ風呂(現ソープランド)に勤める三人娘をめぐる群像劇の様相を示すこちらのほうがずっと上と見る。

但し、群像劇と言うにはバランスが悪く、桂知子が大半を占めている。
 彼女はアパートの隣に住む男・吉沢健を恋人にしているが、彼はゲイ(同性愛者ではなく、おかま若しくはおかまっぽい男のこと。1970年代ゲイはそういう意味で捉えられていたと僕も記憶する)の若者・影山英俊を可愛がり、女性の恋人(浜川麻千子)ができたものの首尾よく男性の役目を果たせない彼のために骨を折って桂嬢を世話をする。しかし、若者は結局失敗して女性に振られ、ビルから飛び降り自殺をしてしまう。

監督は田中登で、ショットの表現や組み合わせに大いに工夫を凝らしている。例えば、「団地妻 昼下りの情事」でも引用した「昼顔」のマゾヒスティックな幻想から拝借したような傘を使ったマゾヒスティックな幻想があり、それを布石として彼が墜落する場面で人間の代わりに透明な傘が赤く(血を表す)なって落ちていく、といった文学的な表現に大いに効果を発揮するのである。

お金を貯めて店を開く夢を持つ牧恵子は、初心な銀行員に金を持ち逃げされて悲嘆にくれる。この犯行に関して具体的なことが何にも分らないのが不満で、普通の持ち逃げであれば日本の警察であれば対処できるであろう。
 もう一人の原英美は甲斐性のない若い恋人に業を煮やしてその兄貴分に乗り換えてしまう。彼女なりの苦痛はあるのだろうが、心理面は大して掘り下げられない。フーゾク嬢を風俗的にスケッチするのが本作の眼目であろうから、それでよろし。

若者の死にがっくり来て泥酔した吉沢と桂嬢が朝の新宿を彷徨する幕切れの映画的ムードもいける。ビル群に反射する曙光は彼女たちの希望を表しているのだろう。

放映(R-15)用に映像に手直しあり。余り洒落っ気のないぼかし方に苦笑が出ます。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • 映画評「OL日記 牝猫の情事」

    Excerpt: ☆☆(4点/10点満点中) 1972年日本映画 監督・加藤彰 ネタバレあり Weblog: プロフェッサー・オカピーの部屋[別館] racked: 2016-12-08 09:09