映画評「ヴェルサイユの宮廷庭師」

☆☆★(5点/10点満点中)
2014年イギリス映画 監督アラン・リックマン
ネタバレあり

今年1月に亡くなったアラン・リックマンが監督・共同脚本と出演を兼ねた作品。

1682年ヴェルサイユを宮殿とすることを決めたルイ14世(リックマン)が、お抱え造園家ル・ノートル(マティアス・スーナールツ)に加えて民間庭師を招き、庭園を造らせることにする。
 ル・ノートルの目に適ったのが調和の中に少しの乱れ(原題)を加えるマダム・ド・バラ(ケイト・ウィンスレット)で、彼女は【舞踏の間】を担当することになる。協力し合ううちに夫人(ヘレン・マックロリー)と不仲の彼と、夫と子供を同時に失った責任を感じている彼女は思慕関係に陥る。それに勘付いた夫人は愛人と企んで彼らの工事を邪魔するが、彼女を信頼する関係者の協力と尽力のおかげで後世に残る【舞踏の間】は完成する。

という宮殿・宮廷秘話(フィクション)であるが、作品の性格あるいは狙いが曖昧ではなかろうか。
 前半は専ら彼女がいかに障壁を乗り越えて【舞踏の間】を完成させるかというお話に見えるが、中盤からロマンスが絡んできて首を傾げさせる。彼女の奮闘の過程でロマンスが要素として出て来る程度なら良いが、ロマンスを成り立たせる為に造園術が絡んでくるように見えるのでは困る。それなら最初からそういう見せ方をする必要がある。
 彼女の子供に関する懊悩にしても、最初のうちから小出しにサブリミナル的に示されているものの、唐突の感は拭えず、作劇が些か舌足らずと言わざるを得ない。

視覚的にはOK。これが半世紀前なら豪勢なヴェルサイユ宮殿やコスチュームを見るだけでもお金を払う価値があっただろうが、これだけでは、大きなスクリーンと比較にならないとは言え、世界各地の景勝地がTVの、それもかなり大型の美麗な画面で見られる現在においてはさすがに弱いであろう。

マダム・ド・バラがそうとは知らずルイ14世と見(まみ)える場面は軽味を伴ってなかなか良い。リックマンはこれがやりたくて本作を作ったのではないかと思うくらい気分を出していて秀逸。

といった具合に全体としては些か残念な出来であるが、本作をもってリックマン氏を追悼する次第。

ル・ノートルが言ったとか言わなかったとか、♪マイ・ベイビー、ベイビー、バラ、バラ♪

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2016年10月30日 16:54
8Kなんてのも出てきてますからね。
昔のように大画面で観るとボヤけているということはないですが、粗が見えたりするのも困ったものです。
オカピー
2016年10月30日 22:02
ねこのひげさん、こんにちは。

1Kで良いです。
新しい機械に振り回されるのはもうこりごり。

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