映画評「マーシュランド」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2014年スペイン映画 監督アルベルト・ロドリゲス
ネタバレあり

スペインで一番権威のあるというゴヤ賞を10の主要部門で受賞したという刑事サスペンス。

1980年、中年のハビエル・グティエレスと比較的若いラウール・アレバロの刑事二人が姉妹殺人事件の担当になり、探るうち地元大物実業家、麻薬組織、児童性愛者が色々と絡んでいることが判り、別の少女を移送する犯人を仕留めることで事件は解決するが、事件の闇はまだあるかもしれない。

お話の構図が、同じように田園地帯の連続殺人事件をテーマにした韓国映画の秀作「殺人の追憶」に似ている。かの作品が戒厳令下の閉塞感が背景にあったように、こちらはフランコ独裁政権が倒れて5年後まだ古色蒼然と権威を振り回す憲兵の存在など独裁時代の名残があるすっきりしきらない空気が背景にある。あちらは雨ばかり降っていたが、こちらは雨はクライマックスのみ、但し舞台は湿地帯で、これがドロドロした地方の保守ムードを醸成する。

という次第で映画的ムードやタッチはかなり良い。しかし、人物関係がややこしく、特に見慣れないスペイン人では混乱するところが多く、しかも説明が最小限、時に不足ではないかと思われるところがありかなり解りにくい。実際には次なる場面が唐突すぎると思うくらい展開は早いのに、解りにくいから停滞しているように感じてしまう。

撮影や中年刑事の佇まいは先年気に入ったイタリアの刑事映画「湖のほとりで」にかなり迫るものの、一回見ただけでは半分も解らない印象につき高く評価しかねる。何回も観て解ることで評価を上げていく作品も少なくないが、それには再鑑賞する気を起こさせる魅力を感じさせることが必要。僕は本作にそこまでの魅力を覚えなかった。

スペインに 影落とせしか フランコ将軍

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2016年10月16日 20:36
スペイン人なら平気で観ているんでしょうが、東洋の片隅の人間は混乱しますね。
小説だと何度も前に戻って確認できるんですがね。
オカピー
2016年10月16日 22:26
ねこのひげさん、こんにちは。

>小説
昔、開高健がそんなことを仰っていました。
現在、家で録画を見る場合には小説の手法も取れるのですが、余りやらないことにしています。余程こちらの集中力を欠いている場合は作品のせいではないのでたまに巻き戻しますが、映画の作りのせいの場合はそのまま。

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