映画評「さよなら、人類」

☆☆★(5点/10点満点中)
2014年スウェーデン=ノルウェー=フランス=ドイツ合作映画 監督ロイ・アンデション
ネタバレあり

ロイ・アンデションは1970年の「純愛日記」しか観ていない。日本では思春期映画のような形に短縮されて公開されたかの作品も実は大人社会を風刺するドラマだった。それから40年以上経った本作は、不条理な挿話を連ねる不条理劇で、僕はルイス・ブニュエルの「自由の幻想」(1975年)を思い出したが、世間では「モンティ・パイソン」を挙げる人が多い。「モンティ・パイソン」ほど人は動かず、カメラはロングに固定されているので、冷たい感じがする。

歯無し老人のマスクなどくだらないおもちゃを売っているセールスマン二人組(ホルガー・アンデション、ニルス・ヴェストブロム)だけが複数の挿話にまたがって登場するので狂言回し気味と言って良く、特に彼らが立ち寄ったカフェに突然18世紀のスウェーデン王カール12世が時空を超えて現れる辺りのシュールさが面白い。

それから終盤回転する樽のようなものに有色人種を詰め込んで火を付けて燻すように観覧車の如く回し続ける挿話が強烈。黒人狩りとヒトラーのホロコーストを彷彿とさせるように、本作全体が不条理なまでに愚かな人類の歴史をごく当たり前の日常的不条理からホロコーストまでカバーして綴ったと言えば、当たらずと言えども遠からずだろう。

全体として一人合点と言うべきだが、理解できないと言って安易に駄作と言うほど馬鹿ではないし、解ったと言って高得点を付けられるほど利口でもない。ご苦労様でした。

昔こんな題名のヒット曲がありましたね。CMでも使われましたか?

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2016年09月19日 06:36
肌に合わんとしか言いようがありませんです。
歌のほうもヒットしたけど好きになれませんでした。
オカピー
2016年09月19日 21:03
ねこのひげさん、こんにちは。

欧州、特に北欧にはこういう感じの作風の作家が少なからずいますね。
部分的には面白かったけれども。

この記事へのトラックバック

  • さよなら、人類~北欧的不条理

    Excerpt: 公式サイト。スウェーデン=ノルウェー=フランス=ドイツ。英題:A Pigeon Sat on a Branch Reflecting on Existence。ロイ・アンダーソン監督。ホルゲル・アンデ.. Weblog: 佐藤秀の徒然幻視録 racked: 2016-09-12 08:40
  • 「さよなら、人類」

    Excerpt: よくわからんけど、いとしいような、悲しいような、人類の営み。 Weblog: 或る日の出来事 racked: 2016-11-20 13:01