映画評「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2015年アメリカ=中国合作映画 監督クリストファー・マッカリー
ネタバレあり

このシリーズでは第3作を買っている。尤も、ブログを開始する前に見た第一作・第二作の正確な出来栄えは憶えていないのだが。

トム・“イーサン・ハント”・クルーズらIMFが、各国の元スパイから成るテロリスト・グループ“シンジケート”を追うのを自らのテロ活動の偽装と思い込んだCIA長官アレック・ボールドウィンにより解散に追い込まれる。
 そんな状況下でも奮闘するハントは、CIAにいやいや協力している仲間サイモン・ペッグをウィーンに呼び出し、オペラ会場での暗殺作戦阻止を図る。

脚本を書き監督も担当したクリストファー・マッカリーが意識したかどうか判然としないが、アルフレッド・ヒッチコックの「暗殺者の家」「知りすぎていた男」の楽譜により暗殺を実行するのと似たアイデア(実際には半端に終わる)が使われていて、ヒッチ・ファンとしてはニヤリ。見せ場満載の本作の中でも気に入った場面である。そもそも本作の全体構想自体がヒッチコックが好んだ【追われながらの犯人・真相探し】のヴァリエーションだ。

この暗殺場面で再登場する謎の美人レベッカ・ファーガスンは、英国が“シンジケート”の親分ショーン・ハリスの許に送り込んだ二重スパイだが、ハントは何かと助けてくれる彼女を信用して、ハリスが何としても入手したがっているモロッコの発電所に収められたデータをゲットする作戦を敢行する。

ここも大々的な見せ場だが、オールド・ファンに特に嬉しいのはそれに続くカー・チェース、バイク・チェースである。CGを含むVFXに頼ってやたらに大袈裟になり却って手に汗を握らせる迫力がなくなっている他のアクション映画と違って、殆ど実演によるのだからご機嫌。先日再鑑賞した「マンハッタン無宿」(1968年)をもっと派手にしたような階段を使ったアクションは着想的に1960年代終わりから70年代初めの映画を観るようで、その時代の作品同様にカメラを無暗に揺らしたりカットを細切れにせず実に良い。これが本当のアクション映画だ。

最後はロンドンへ移動して、ペッグを人質に取られてのデータをめぐる時限サスペンス。といった具合にサスペンスのヴァリエーションが豊富で、旧作通り見せ場を出し惜しみしない姿勢が有り難い。冷戦終了以降テロがスパイ映画の主要モチーフとなっているが、イスラム絡みが減っているのは実際が余りに生々しいからだろう。

何故か存在するアンチ・トム・クルーズ・ファンが、例によって、大駄作と連呼している。映画に限らず、個別に是々非々で判断してよね。

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この記事へのコメント

2016年07月02日 14:12
>トム・クルーズ
大スターなのでアンチが出てくるのも仕方ないのかもしれませんが、アクション・スターとしては往年のベルモンドやジャッキー・チェンのようなすばらしさ、そして役者としても「レインマン」「大いなる陰謀」など非常によかったです。とくに「大いなる陰謀」では、アンチが湧くような映画スターとしての自分の持ち味を役作りに活かしての好演でした。
小林信彦がエッセイで、トム・クルーズは大物役者と共演したとき何故かそれを喰うような名演を見せてくれると書いていたのを思い出します。相手の大物役者に対して受けに回ってでしゃばらないで、でもトム・クルーズ、いいなあ、とうならせてくれるんですよ。私は大ファンなのでひいきめも入りますが(笑)
オカピー
2016年07月02日 21:24
nesskoさん、こんにちは。

僕が面白く感じた「コラテラル」を褒めたら、「こんなのを褒めるなんて信じられない」というコメントが入ったことがありますよ。
当初は僕の鑑賞眼への批判なのかと思いましたが、少し後でアンチ・クルーズ・ファンの存在に気づき、そうした意見なのだと納得しました。
「大いなる陰謀」でも、確かに、そんな意見がチラホラしていましたねえ。

僕は大ファンとは言えないかもしれませんが、彼の出た映画を見てつまらないと思った経験はごく初期を別にすると殆どないですよ。

「タップス」が公開された時無名のトム・クルーズが少し前にスターになったティモシー・ハットンを食っていると評判になったのを昨日のように憶えています。あれからもう35年ですよ。こちらもじじぃになりますわなあ。
ねこのひげ
2016年07月03日 10:03
有名人になると妬まれたり嫉まれたりいたしますからね。
『コラテラル』良い作品だと思いますよ。
オカピー
2016年07月03日 21:34
ねこのひげさん、こんにちは。

「イヴの総て」みたいに若手がベテランが追い出すならともかく、全然関係のない一般人が銀幕のスターの悪口を言っても何にもならない気がしますけれど。

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