映画評「レフト・ビハインド」

☆★(3点/10点満点中)
2014年カナダ=アメリカ合作映画 監督ヴィック・アームストロング
ネタバレあり

事情があって【エホバの証人】の方々と話をすることが多い。基本的には問題がないが、「人類が生まれて6000年」などと創造説をのたまわれるとこちらも疲れてしまう。彼らは創造科学なるもので“科学的”にそれを証明しようとしても、所詮は似非科学なのですぐにボロを出す。
 エホバの証人は違うらしいが、地球ができたのは8500年前でそれを科学的に証明できる、などと地質調査で得たと称するいんちきデータを示すグループもある。原油や石炭がそんな短期間であれほど大量に世界各地でできたのですか? それなら日本にも大量の原油があって良いと思うが。

本作はキリスト教徒の中でもそんなグループだけが見れば良いキリスト教プロパガンダ映画で、戦前・戦中の国威発揚映画でさえここまで露骨な洗脳的図式を示して来なかったのではあるまいか。そもそもプロパガンダはそれを信じていない人に示すべきものながら、その強制的印象が全てを台無しにする。

妻リー・トンプスンがキリスト教原理主義者になったことが嫌でたまらないパイロット、ニコラス・ケイジは、同様に嫌悪感をむき出しにする娘のキャシー・トムスンが誕生祝いでわざわざ帰省したにもかかわらず、仕事と称して大型飛行機の機長の席に座る。が、飛行中に子供全員と一部の大人が姿を消してしまうという事件が発生する。地上ではキャシーが一緒に遊んでいた弟の消失に呆然、やがてそれが世界中で起きていることを知る。
 ケイジはその為に生じた飛行機不具合により緊急着陸を余儀なくされて悪戦苦闘。その危難を知ったキャシーは工事中の道路を滑走路代わりにすることを提案、自ら道路から邪魔ものを払い除ける為に奔走する。何とか無事に不時着した後ケイジと娘キャシーは、これは聖書に予言されていたことなのだと気付き、妻・母の信仰を毛嫌いしたことを後悔する。

敢えて本作のバカバカしさを示したいが為に中くらいの詳細さでストーリーを書いてみた。
 今まで作られた終末論的映画は、その裡から人間観察をしようという文学的アプローチのもの、さもなくばそれによりサスペンスに特化する娯楽作品のどちらかである。あるいは、宗教や信心に疑問を呈する作品は人間の精神を掘り下げ、比較的宗教寄りの作品でも宗教に疎い者を除け者にすることはなかった。
 しかし、本作は、今のまま行けば人類は終末を迎え、神を信じない者やキリスト教徒以外の者は救われないと真正面から脅しをかけるのである。サスペンスと見せかけてこんなものを見せるのは詐欺みたいなもの。ごく一部のキリスト教徒は有り難がるだろうが、それ以外の人が興味を持つのは消えた人々のほうであるのだから、こんなバカらしいお話はない。欧米でも評価が頗る低いのは当たり前と言うべし。

映画を観て久しぶりに腹が立った。

キリスト教徒もユダヤ教徒もイスラム教徒も実は同じ神を信じている。それを知らない信者たちが多く、一方の信者が他方に対して「お前たちの神が・・・」などと言う。もっと勉強してくれってなもんだ。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2016年06月12日 17:16
無知蒙昧のやからが増加傾向にあるようで、US大丈夫か?であります。
まあ日本でもバカボンそっくりの教祖をありがたがっている宗教団体がおりますがね。
オカピー
2016年06月12日 20:24
ねこのひげさん、こんにちは。

原作は宗教家が書いた啓蒙書でベストセラーになっているらしいですが、殆どが非クリスチャンの日本にこんなものを紹介したところで、全く意味ないです。
あほらし。

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