映画評「HERO」(2015年版)

☆☆★(5点/10点満点中)
2015年日本映画 監督・鈴木雅之
ネタバレあり

同名TVドラマの、8年ぶりとなる映画版第2弾で、タイトルが第1弾と全く同じというのが大胆不敵。余り感興は湧かないものの、前回観たお付き合いで再び観る。

パーティ・コンパニオンが門から飛び出たところで車に轢かれて死ぬ。
 検事の木村拓哉は、事故現場がネウストリア大使館の裏門と知る。が、治外法権のために関係者に事情を訊くことができない。死んだ女性と写る外国人男性が大使館関係者であることを掴んでも、国境の壁が立ち塞がる。
 “諦めの悪い”彼は、事務次官・北川景子と近くのネウストリア料理店で様子を探ることにするが、やがて横断歩道で検事が何者かに押し出されたり、おでん屋で二人が食事中にトラックで襲われたりもする。
 かくして状況を探るうちに大使館有力者と暴力団が一本の線で繋がることになる。

前作で感じが掴めいているので本格ミステリーを鼻から期待していないが、一番バカらしいのは、ヤクザ側が碌に怪しまれていないうちに自ら検事側に攻撃を仕掛けることで証拠を残してしまうことである。二人とも死んでしまえば勿論万々歳であったのであろうが、死ななければかなりの確率で墓穴を掘ることになる。お話のためのお話という印象を強く残し、甚だまずい。

第一弾同様に仲間のために関係者全員が一致協力して事件捜査に当たるというのも検事版「アベンジャーズ」の如しで、少し鼻白む。規模こそ違え日本でもアメリカでも協調をモチーフにした映画が生まれるのは、翻せば、それが出来ていないということなのだろうか? 日本は現在「空気を読む」ことが大事とされ、僕らが若かった頃に比べると付き合いも楽ではないと聞くが、「空気を読ん」での仲良しは“ごっこ”ということか?

その代わり官憲たる主人公が型破りで、ルールやしがらみを程よく無視して行動するのは、くよくよメソメソしがちな日本映画らしからず、それなりに爽快感がある。
 ところが、それが一貫しないのがいけない。主人公と、大阪検察庁の支部で検事として活躍し始めた松たか子との間のややこしい関係によりそのくよくよが発揮されているからである。

ネウストリアは、オーストリアをもじっているのだろう。ソーセージと言い、国旗の色と言い。

この記事へのコメント

ねこのひげ
2016年06月06日 10:15
フランス映画のあの乾いた悪党振りを見ていると、日本のジメジメめそめそした梅雨の天気のような内容にはウンザリさせられることがあります。
オカピー
2016年06月06日 20:22
ねこのひげさん、こんにちは。

日本のハードボイルド映画を見ると嬉しくなるデス。
なかなか作られませんから。
それを気取ってみても、出来上がったものを見ると、ウェットなものが多くて。

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