映画評「コンチネンタル」

☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1934年アメリカ映画 監督マーク・サンドリッチ
ネタバレあり

「空中レヴュー時代」の脇役で注目されたフレッド・アステアとジンジャー・ロジャーズがダンス・ペアとして主演した記念すべき第一作で、1949年のコンビ最終作「ブロードウェイのバークレイ夫妻」まで僕は二人のコンビ作を全部観ている。戦後世代では珍しいだろう。

米国のダンサー、アステアが友人の弁護士エドワード・エヴェレット・ホートンとロンドンへ行く途中、金髪美人ジンジャーがスカートをトランクに挟まれる窮地を救い(実際には破ってしまい、コートを貸す)一目惚れしてしまうが、関心を寄せない彼女からファースト・ネームだけ教えてもらう。
 ホートンは旧知である彼女の叔母アリス・ブラディより姪の離婚に一役買ってくれないかと持ち掛けられると、イタリア人のジゴロ、エリック・ローズを雇って不倫を演出するが、アステアの名言を合言葉として拝借したことから、彼女に懸想するアステアと次第に彼の魅力を理解し始めるジンジャーとの間に誤解が生じて気持ちのすれ違いを起こした末に、成り行きでアステアとローズ二人が彼女の部屋に一晩過ごすことになる。
 そこへ旦那が現れるが一向に頓着しないのに大慌てするものの、ホテルの給仕エリック・ブロアのおかげで彼のほうの浮気がばれて離婚が成立する。

登場人物が心理や状況を台詞代わりに歌で語る現在のミュージカルと趣向の異なる、踊りと劇中演目を重視するレヴュー(revue)と言ったほうが適当な内容で、お話は頗る他愛ないが、その他愛なさの中に特に面白味が発揮されているのが、誤解をめぐるシークエンスである。少し気持ちが傾き始めたところでジンジャーが彼を雇われたジゴロと思い込みがっかり、片やアステアは彼女がすげないそぶりをしていたのに急に部屋に招くという豹変ぶりに喜んでいいのやら悲しんでいいのやら落ち着かない精神状態になる。予想ほど大きく扱われては行かないものの、誠にシチュエーション・コメディーらしいお楽しみと言うべし。

しかし、本作に限らずこのペア主演の作品は二人のダンスの呼吸と歌曲を楽しむを最上とすべしで、コール・ポーターのお馴染みの曲「夜も昼も」(原作ミュージカルの為に作曲された由)が光り、邦題に採用された映画オリジナル「コンチネンタル」も佳曲。
 二人のダンスはタップが中心だが、ペアを組んで踊りながら障害物を超えていくところはさすがの呼吸と感嘆の溜息が出る。「コンチネンタル」の曲に乗って回転しながら階段を下りる難しい芸当も楽々こなして圧巻。

レヴューをレヴューする。ややこしいね。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2016年06月19日 16:46
この2人も踊りは100年たとうと古びないですな~
オカピー
2016年06月19日 20:05
ねこのひげさん、こんにちは。

素敵です。
日本では人気のなかったジャンルですけど。

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  • 「コンチネンタル」

    Excerpt: フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースのダンスの素晴らしさは、感激で泣けてくるほど。 Weblog: 或る日の出来事 racked: 2016-08-11 23:05