古典ときどき現代文学:読書録2015

 新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

 さて、本年も映画ではなく、昨年一年間の読書録からスタート。

 幾つか設けた目標がかなり達成できた一年でした。
 まずは、アウグスティヌスの大著「神の国」。これで少しはキリスト教を語れる。人類史上最も難解な著作とも言われるヘーゲルの「精神現象学」。これで少しは哲学が語れる。弁証法も少し理解できたでしょう。四書五経のうち「書経」。残るは「易経」と「春秋」(本体はもはや存在しないので、注釈本「春秋左氏伝」を将来読む)だけとなりました。ゲルツェンの自伝「過去と思索」は、昨年最も強い印象を残した傑作。
 文学の大古典では、「ニーベルンゲンの歌」「エル・シードの歌」。どちらも映画版でお馴染み。
 日本のものでは、古代の「風土記」「懐風藻」そして近代の「春色梅児誉美」、河竹黙阿弥や鶴屋南北の歌舞伎脚本群。
 フランスの大河小説「パスキエ家の記録」、三島由紀夫の遺作「豊饒の海」。

 例によって新しい作品は殆ど読んでおりませんが、昨年一番の話題作、又吉直樹の「火花」を(1000円分のチケットが入ったので事実上無償で)パソコン上で。ディック・フランシスのミステリー「告解」も新しい部類でしょう。

 
 皆さんがお読みになったことのある作品はあるでしょうか? 


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マルコ・ポーロ
「東方見聞録」・・・精度はいま一つという印象ながら、元寇直後のモンゴルの様子が解る

ヘルマン・ズーデルマン
「憂愁夫人」・・・自然主義文学と言われながらも、ヘッセの青春小説のような香りも


釈 迢空
「古代感愛集」・・・古語を使って異様な迫力ある第一詩集。沖縄の神話に材を求めた連作は圧巻
「近代悲傷集」・・・終戦後の印象も入った第二詩集。スタイルは前作と同じ
「現代襤褸集」・・・半分くらい取り入れた口語体の詩に野趣あり

アンドレ・ブレトン
「ナジャ」・・・シュールレアリスム小説とか。入れ子構造的私小説とも言えるかも

作者不明
「播磨国風土記」・・・土地の肥沃度と土地名の由来が多く記載されているのが特徴
「豊後国風土記」・・・豊後国は“とよくにのみちのしりのくに”と読む
「肥前国風土記」・・・神の名前が地名になったというが、本当は地名が神の名前になったのだろう
「常陸国風土記」・・・「風土記」中最も文学的なので、読み物としては一番面白い

神宅臣 金太理
「出雲国風土記」・・・データに徹している。そこに中央に対する矜持を感じる

河上 肇
「貧乏物語」・・・経済随筆。奢侈品需要の為に生活必需品が生産されないというのは無理がある

ジェームズ・ヒルトン
「チップス先生さようなら」・・・二度の映画化も良かったが、原作も感動的だねえ


V・ロープシン
「蒼ざめた馬」・・・宗教的愛とテロによる殺害は矛盾するか。100年以上も前の小説とは思えない

里見 弴
「多情仏心」・・・博愛精神的に女性達を愛して死んでいく男性と一種悲劇的環境に埋没する女性達

久米 正雄
「受験生の手記」・・・100年前の受験生も現在と余り変わらんと解りました。当時の受験シーズンは7月

マルキ・ド・サド
「悪徳の栄え」・・・この内容では精神病院送りになるのも分かるような気がする

ディック・フランシス
「告解」・・・新作撮影中の映画監督が、その内容の為に傷害・殺人事件に巻き込まれる。一昨年読んだジョン・ヒューストン監督の自伝と錯覚させられたりもしますぞ

井伏 鱒二
「漂民宇三郎」・・・帰国しなかった宇三郎は不幸だったのか否か。封建制度への諧謔が滲み出る

岡本 かの子
「母子叙情」・・・息子・岡本太郎との関係をモチーフに母子愛の関係を綴って秀逸


為永 春水
「春色梅児誉美」・・・江戸時代の粋(いき)が随処に感じられる人情本

ジェームズ・バリー
「あっぱれクライトン」・・・英国人の階級意識を孤島への漂流を通して風刺した戯曲。傑作

T・S・エリオット
「カクテル・パーティー」・・・現代社会の矛盾というテーマは、いかにも戦後の戯曲らしい

野口 米次郎
「明界と幽界」・・・アメリカ時代の自作"Seen & Unseen"の翻訳。映画「レオニー」の旦那さん

三木 露風
「白き手の猟人」・・・象徴詩としては比較的親しみやすい

日夏 耿之介
「転身の頌」・・・雅語を多用した物凄い高踏派ぶりに、解らないながら圧倒される象徴詩群

ローレンス・スターン
「センチメンタル・ジャーニー」・・・英国人の作者が諧謔味たっぷりにフランスを描写

ペドロ・カルデロン・デ・ラ・バルカ
「サラメアの村長」・・・個人の名誉をテーマとした戦争劇。三幕
「人の世は夢」・・・セヒスムンドはハムレットと比肩すべき王子なのだとか

坪内 逍遥
「沓手鳥孤城落月」・・・先年読んだ「桐一葉」続編。主君・秀頼と淀君を思う市ノ正の義人ぶりが明快

池田 大伍
「西郷と豚姫」・・・西郷隆盛が迎える危機を太った仲居の思慕を交えたところに面白味がある

フリードリッヒ・ヘッベル
「ユーディット」・・・旧約聖書に材を取る5幕戯曲。「聖書」通には有名な話らしい

トマス・ヒューズ
「トム・ブラウンの学校生活」・・・学校とはかのラグビー校。「次郎物語」辺り影響があるのでは

岡本 綺堂
「権三と助十」・・・ご本人の出て来ない大岡越前もの戯曲。よっ、名奉行!

谷崎 潤一郎
「お国と五平」・・・「近松物語」かと思いましたぜ

ジョルジュ・デュアメル
「パスキエ家の記録 第一巻:アーヴルの公証人」・・・伯母の遺産に夢を託す両親
「パスキエ家の記録 第二巻:野獣の園」・・・父親(夫)の女性問題に苦悩する母親
「パスキエ家の記録 第三巻:約束の地の眺め」・・・一家でお金と女性問題が交錯してくる
「パスキエ家の記録 第四巻:聖ヨハネ祭の夜」・・・ロマン派のような問答が多く退屈
「パスキエ家の記録 第五巻:砂漠の家」・・・印刷所経営を目的とする共同生活の破綻
「パスキエ家の記録 第六巻:先生たち」・・・二人の師匠に対する顕微鏡的観察。面白い
「パスキエ家の記録 第七巻:セシルの結婚」・・・子供を設ける為の結婚は必然的に破綻
「パスキエ家の記録 第八巻:影との闘い」・・・論文が結果拷問道具になってしまう。面白い
「パスキエ家の記録 第九巻:シュザンヌと若者たち」・・・またロマン派っぽい
「パスキエ家の記録 第十巻:ジョゼフ・パスキエの情熱」・・・実業家になった長男の経済地獄

小山内 薫
「息子」・・・翻案による一幕もの。読む戯曲ではなく、観る作品だなあ

宇野 信夫
「巷談宵宮雨」・・・毒薬が関わってくる「四谷怪談」もどきの二幕新歌舞伎

オリヴァー・ゴールドスミス
「ウェイクフィールドの牧師」・・・悪漢小説風説教小説という感じ

アルフォンス・ドーデ
「アルルの女」・・・ビゼーでお馴染みの悲劇。牧歌的ファンタジーとも言えようか?

アレクサンドル・ゲルツェン
「過去と思索」・・・19世紀欧州の自由主義闘争の全てがここにある


ナサニエル・ホーソーン
「トワイス・トールド・テールズ」・・・キリスト教精神を背景にした珠玉の短編集

夢野 久作
「ドグラ・マグラ」・・・日本三大奇書の一つ。確かに気が狂うような錯覚に陥る瞬間がある


ゲアハルト・ハウプトマン
「寂しき人々」・・・戦前大人気だったハウプトマンも今は落ち目の三度笠

アルトゥーア・シュニッツラー
「アナトオル」・・・アナトールの七つの恋愛を綴る連作短編劇。こういう形式は珍しい

モリス・メーテルリンク
「モンナ・ヴァンナ」・・・「ユーディット」を意識しているなあ

イワン・ツルゲーネフ
「処女地」・・・ナロードニキがテーマなので、ツルゲーネフを読むなら「ルージン」「初恋」を

鄧 拓
「燕山夜話」・・・文化革命で事実上殺されてしまった作者のコラム集。10年後には立場が逆になるが

フランツ・グリルパルツァー
「金羊毛」・・・アルゴ探検隊のイアソンと妻となったメディアの葛藤劇

ヨハン・ダヴィッド・ウィース
「スイスのロビンソン」・・・題名通り「ロビンソン・クルーソー」のスイス家族版

ウィラ・キャザー
「私のアントニーア」・・・アメリカ版「赤毛のアン」という分析は大体当たっている

ジャン・ド・ラ・ブリュイエール
「カラクテール」・・・現在に生きる者にとっては当時の風刺より箴言の方が楽しめる

関野 通夫
「日本人を狂わせた洗脳工作」・・・GHQ政策の影響を過大評価。左翼思想は世界的流れよ

作者不明
「ニーベルンゲンの歌」・・・5世紀頃欧州全土に渡るお話はスケールが大きい


フリードリッヒ・ヴィルヘルム・オストヴァルト
「化学の学校」・・・高校の教科書よりも解りやすいかも?

森本 薫
「女の一生」・・・利他主義に生きた女性の半世紀に近い悲しき人生。泣きました

「華々しき一族」・・・一軒の家に暮らす家族と寄宿人の間に起こるややこしい恋愛関係

ジェーン・オースティン
「エマ」・・・英国で小説が始まったばかりの頃に100年後を先取っていたと言えるのかも

ウラジーミル・レーニン
「国家と革命」・・・完全な民主主義を経ずに共産主義はありえないことが反面教師的に解る

フランシス・バーネット
「小公女」・・・人間の可能性を感じさせる素晴らしい児童文学。心理描写の細かさが圧巻

岡本 綺堂
「半七捕物帳 お文の霊」・・・なかなか洒落た、殺人のない時代劇ミステリー。第一作

野村 胡堂
「銭形平次捕物控 金色の処女」・・・江戸川乱歩と「眠狂四郎」を合わせて二つに割ったような印象

アルフォンス・ドーデ
「風車小屋だより」・・・ユーモアもあるけれど、散文詩と言うべき作品が多い珠玉短編集

ウィリアム・サロイヤン
「わが名はアラム」・・・児童文学のような大人向け小説。映画「スモーク」の味わいか?


劉 敬叔
「異苑」・・・中国志怪小説初期(4世紀ごろ)に属する説話集。一編がごく短くて面白い

張 鷟
「遊仙窟」・・・韻文が多く、現代日本語訳では評価しにくい。日本中世文学への影響大と見る

陳 玄祐
「離魂記」・・・志怪小説(怪異譚)の形でロマンスを抽出している

沈 既済
「枕中記」・・・わが邦の「金々先生栄花夢」のようなお話。【邯鄲の夢】の語源となる

李 朝威
「柳穀伝」・・・洞庭湖の竜王が出て来る志怪小説。かなり小説になっている

李 公佐
「南柯太守伝」・・・これも夢落ちだが、読後「不思議の国のアリス」を思い出す

白 行簡
「李娃伝」・・・作品としての完成度は分らないが、胸を打つ物語

陳 鴻
「長恨歌伝」・・・白楽天の長詩「長恨歌」を生んだ楊貴妃の悲劇の顛末

元 稹
「鶯鶯伝」・・・後の戯曲「西廂記」の基になったロマンス。唐の作品としては小説らしい雰囲気濃厚

楽 史
「楊太真外伝」・・・楊貴妃の悲劇を描いた小説、というより殆ど紀伝

レイモンド・チャンドラー
「大いなる眠り」・・・映画版の「三つ数えろ」は結構原作に近いのではないか?

ジャン・ジロドゥ
「オンディーヌ」・・・去年読んだフケー「ウンディーネ」を元ネタにした喜劇的悲劇

三島 由紀夫
「豊饒の海 第1巻:春の雪」・・・さすがに映画版と違って主人公の心情がよく解る。名文なり

「豊饒の海 第2巻:奔馬」・・・主人公の皇国観は恐ろしいが、三島の数年後の実像を見るよう
「豊饒の海 第3巻:暁の寺」・・・いよいよ輪廻転生思想の本場インドが絡んでくる
「豊饒の海 第4巻:天人五衰」・・・最後はまるで「胡蝶の夢」の如し。びっくりした

ジュール・ルナール
「博物誌」・・・三好達治「測量船」に影響を与えているね。この人らしく、散文詩的だ

マシュー・アーノルド
「教養と無秩序」・・・実際には著者の考えとは違う方向に英国社会は向かったと思う

徳富 蘆花
「自然と人生」・・・随筆集と紹介されるが、3編ほど小説あり。口語の上州描写に納得。他は文語

ルキウス・アプレイウス
「黄金の驢馬」・・・現在まで残る唯一のラテン語物語とのこと。ギリシャ神話も相当からむ

ルキアノス
「本当の話」・・・ローマ時代のメタフィクション。「ガリヴァー旅行記」あたりへの影響大か?

三上 於兎吉
「雪之丞変化」・・・実はマッカレーの翻案で、「弁天小僧」など歌舞伎要素を取り込んだものらしい

ニコライ・V・ゴーゴリ
「タラス・ブーリバ」・・・僅か500年ほど前のお話だけど、人間は野蛮だったのだねえ
「狂人日記」(再)・・・日付表記の変化が狂気性を表して面白い

中里 恒子
「乗合馬車」・・・白人妻やハーフの孤児が主人公というのが珍しい。ちょっと良い
「日光室」・・・ハーフの子供たちの心理を描く。上の続編

長谷 健
「あさくさの子供」・・・今より先生がぐっと偉かった戦前でこれだから、今の教師の立場は推して知るべし

半田 義之
「鶏騒動」・・・人品卑しいごおつく婆さんが革命から逃げてきたロシア人と奇妙な友情を育む

寒川 光太郎
「密猟者」・・・北方領土における猟人の人生を即実的に描き出す

ヴィルヘルム・ハウフ
「隊商」・・・入れ子構造の童話集。なかなか面白い

ベルトルト・ブレヒト
「三文オペラ」・・・読むのでは「モリタート」など有名な音楽は聴けないが、楽しめる

エドワード・ブルワー=リットン
「ポンペイ最後の日」・・・最新CG作「ポンペイ」は事実上本作を原作としている

作者多数
「懐風藻」・・・日本最初の漢詩集。日本と百済の関係の深いことがよく解る

テオドール・シュトルム
「みずうみ」(再)・・・少年時代の僕はとにかく結ばれない恋が好きだったのだ

「マルテと彼女の時計」・・・古き時代を尊ぶ精神を表白する
「広間にて」・・・「みずうみ」の男女を反転してハッピーエンドにした形
「林檎の熟するとき」・・・解説でやっとお話の意味が解った。情けなか
「遅咲きの薔薇」・・・作者の妻への思いがモチーフのようだ。時間は残酷だ

N・シチェドリン
「ゴロブリョフ家の人々」・・・農奴解放に伴う没落貴族の運命。ロシア的無気力の世界

河竹 黙阿弥
「青砥稿花紅彩画」・・・「弁天小僧」の正式名。お話より名台詞の数々を楽しむ
「梅雨小袖昔八丈」・・・通称「髪結新三」。お話もなかなかだが、江戸末期の風俗を楽しむ
「天衣紛上野初花]・・・ご存じ河内山宗俊の豪快な活躍。「百人吉三廓初買」と通底する
「八幡祭小望月賑」・・・“愛想尽かし”の二重奏から始まる怒涛の悲劇。壮絶ですぞ
「曾我綉侠御所染」・・・上と似た趣向だが、些か作りすぎの感否めず

作者不明
「ふらんすデカメロン」・・・95話くらいは浮気の顛末。宗教関係者に対して特に風刺が強い印象

ワシントン・アーヴィング
「スケッチ・ブック」・・・滋味溢れるエッセイの他短編「リップ・ヴァン・ウィンクル」を所収

ヴィクトル・ユゴー
「クロムウェル・序文」・・・三一致の法則を否定しているが、演劇論として相当興味深い
「エルナニ」・・・美姫を巡って三人の貴人が争う5幕韻文劇。最後が悲しすぎる
「ルクレツィア・ボルジア」・・・稀代の悪女にも親の情あり。三幕散文劇
「リュイ・ブラース」・・・映画(鑑賞済)にもなった五幕悲劇。余りピンと来ないなあ

ワシーリィ・アクショーノフ
「星の切符」・・・ヌーヴェルヴァーグにかぶれたポーランド映画みたいな感じ

ニ・ディドロ
「運命論者ジャックとその主人」・・・逸脱に次ぐ逸脱で少しもお話が進まないメタフィクション哲学小説

アルトゥア・シュニッツラー
「輪舞」・・・男女が相手を変えることで話が円環する変則戯曲。映画版二種観たことあり

西田 幾多郎
「善の研究」・・・宇宙は全て統一に向っている。統一そのものが神である。神の意味が解るかも

ニコライ・チェルヌィシェフスキー
「何をなすべきか」・・・今となると社会主義ユートピア小説だなあ

ジョン・オズボーン
「怒りをこめてふりかえれ」・・・「怒れる若者たち」ムーヴメントの嚆矢とされる戯曲

ジャック・カサノヴァ
「回想録」・・・12巻全部読むのもしんどそうだけど、一巻だけの抄訳では物足りない

鶴屋 南北
「東海道四谷怪談」・・・ご存じ「お岩さん」。映画はかなり圧縮しているんだな
「音菊天竺徳兵衛」・・・読んでも大して面白くない。観るべき歌舞伎狂言
「時桔梗出世請状」・・・明智光秀が謀反を起こすのも解る織田信長の非道。勿論偽名にて進行
「浮世柄比翼稲妻」・・・河竹黙阿弥の悲劇に近い
「桜姫東文章」・・・清玄桜姫もの。お姫様に下世話な台詞を吐かせるのが面白い。

ギ・ド・モーパッサン
「死のごとく強し」(再)・・・老画家の長年の愛人とその娘の間で揺れ動く心情を描いて絶品


アウレリウス・アウグスティヌス
「神の国」・・・一神教徒が多神教を憎む理由が解ったような気がします

ルイ・ベルトラン
「夜のガスパール」・・・野趣の魅力溢れる散文詩集。ボードレールが惹かれたのも解る

作者不明
「エル・シードの歌」・・・「ニーベルンゲンの歌」などよりぐっとシンプル。最後の創作的一幕が面白い

北村 透谷
「楚囚之詩」・・・文語詩だが、囚人の心情を綴って解りやすい
「厭世詩家と女性」・・・恋愛と結婚の違いを、詩人の立場から述べた評論。文語だが解りやすい部類
「人生に相渉るとは何の謂ぞ」・・・実利主義に対する芸術至上主義文学の立場を説いた文芸評論
「蓬莱曲」・・・バイロンの詩劇「マンフレッド」に似ている、と僕も直感した。凄い文章だな

ガリレオ・ガリレイ
「天文対話」・・・引力の概念を知っていればと思わせる。逆説的に引力の発見の偉大さが解る

カール・サンドバーグ
「シカゴ詩集」・・・庶民の生活に下降し捉える描写が力強い。実に明快


作者不明
「書経」・・・君主の儒教的為政術を説くことを眼目とする一種の歴史書。真古文と擬古文とがある

F・W・クロフツ
「マギル卿最後の旅」・・・列車を使った殺人のトリック崩し。フレンチ警部もの

シモン・ギャンチョン
「娼婦マヤ」・・・マヤは男の心の中にある理想的な女性なのだ

ラドヤード・キップリング
「ジャングル・ブック」・・・動物の擬人法はあるが、予想以上に残虐味や厳しさがある

又吉 直樹
「火花」・・・芸人を主人公にしているが、人の世の生きにくさを普遍的に感じることができると思う

ウラジーミル・ナボコフ
「ロリータ」・・・ロ○○ンの語源となった小説。衒学趣味と言葉遊びが多い

夏目 漱石
「カーライル博物館」・・・随筆。多分アーヴィング「スケッチ・ブック」の影響を受けている

フランソワ・モーリヤック
「愛の砂漠」・・・父と子が若い妾に思いを馳せ、二人とも傷ついたまま終わる。愛の不毛
「癩者への接吻」・・・「テレーズ・デケイルゥ」に通ずる、神を信じない人の生の不毛

武田 麟太郎
「銀座八丁」・・・最近の群像劇映画を思わせる立体的な群像小説。秀逸と思う


ベルトルト・ブレヒト
「アンティゴネ」・・・ソフォクレスの悲劇をベースにナチスを重ねて再構築した意欲作

ロバート・L・スティーヴンスン
「ジーキル博士とハイド氏」(再)・・・ご存じ二重人格を表徴したSF。中学以来

島木 健作
「生活の探求」・・・現在のスローライフ志向よりもっと真剣な転向者の帰農問題を真摯に描く
「赤蛙」・・・終戦の虚脱感を懸命にもがきながら川に消えてしまう赤蛙に託したものか

G・W・F・ヘーゲル
「精神現象学」・・・巨視的には、精神の発展過程はそのまま人類の歴史に当てはまる、ということだろうか

加藤 尚武(編)
「ヘーゲル『精神現象学』入門」・・・うまく整理しております。少しは解った気になる

ジェイムズ・F・クーパー
「モヒカン族の最後」・・・インディアンへの尊敬の念が感じられるところが良い

ボワロー/ナルスジャック
「めまい」・・・ヒッチコックの名作の原作。幕切れは原作と全く違い吃驚

ハンス・カロッサ
「幼年時代」・・・翻訳であるから印象にすぎないが、ドイツ系らしい硬質な文章が非常に美しい

作者多数
「後撰和歌集」・・・構成は「古今集」と同じであるが、恋愛歌が全体を席巻している

ジョージ・エリオット
「サイラス・マーナー」・・・ジェーン・オースティンがディケンズ風の物語を書いたという感じ

シャルル・ボードレール
「悪の華」・・・散文詩「パリの憂鬱」で苦労したので40年も敬遠していたが、案外解り易い

櫻田 常久
「平賀源内」・・・芥川賞受賞作では珍しい時代小説。文章がなかなか高品位です。

多田 裕計
「長江デルタ」・・・西洋思想に影響されて東洋人の思想が分裂している様を描いているか?

ジョージ・ギッシング
「ヘンリー・ライクロフトの私記」・・・疑似私小説。そこはかとなく枯れた味わい


倉光 俊夫
「連絡員」・・・日中戦争時、中国で新聞社に雇われた情報伝達係が主人公

石塚 喜久三
「纏足の頃」・・・中国における蒙古人の厳しい立場。気に入ったが、時代が解らないのが気になる

東野邊 薫
「和紙」・・・和紙製造という素材の珍しさに尽きようか

ガイウス・ペトロニウス
「サチュリコン」・・・フェリーニも映画化した古代ローマの酒池肉林

ルキウス・アンナエウス・セネカ
「アポコロキュントシス」・・・皇帝ネロのご機嫌をとろうとした戯作。皇帝学でもある

八木 義徳
「劉廣福」・・・時局のせいで戦前・戦中芥川賞受賞作は海外(特に中国)を舞台にしたものが多い

小尾 十三
「登攀」・・・当時日本であった半島で朝鮮人の若者を懸命に教育する教師の姿

清水 基吉
「雁立」・・・句会を通じて知り合った男女の慕情を叙情的に描く。芥川賞受賞作では珍しいタイプでは?

イワン・ツルゲーネフ
「その前夜」・・・ツルゲーネフは恋愛の中に時局を反映させるのが上手い

ヴィルヘルム・マイヤー=フェルスター
「アルト・ハイデルベルク」・・・自由のない王族故の甘酸っぱい青春模様

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2016年01月01日 11:23
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

色々読んでおられますね~
すごいです。
ディツク・フランシスはよいですよ。
競馬ファンでなくても引き込まれます。
表現の豊かさには感心します。
ボー
2016年01月01日 12:03
あけましておめでとうございます。
私は去年は図書館で借りては返すで、月に3~4冊は読んでいました。普通の小説ばかりですが。
今年もよろしくお願いします。
オカピー
2016年01月01日 21:22
ねこのひげさん、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

>色々
ジャンルを問わず、人類の英知と思われるものを優先的に読んでいます。
だから、3年ほど前に百科事典や文学事典からリスト化しました。
僕の好みや思想に合わなくても、さすがに残っているものは違うなあと思わされます。
決して新しいものに興味がないわけではないのですが、寿命に限りがありますからねえ。

>ディック・フランシス
昔は本格推理が好きでしたが、人間や社会との関係において読むなら、最近のミステリーのほうが面白いですね。
オカピー
2016年01月01日 21:31
ボーさん、明けましておめでとうございます。

>図書館
当方も、殆ど図書館です。
お金も問題ですが、場所を喰いますので。

今年もよろしくお願いいたします。

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