映画評「ダリオ・アルジェントのドラキュラ」

☆(2点/10点満点中)
2012年イタリア=フランス=スペイン合作映画 監督ダリオ・アルジェント
ネタバレあり

ダリオ・アルジェントのファンではないが、「ダリオ・アルジェントの」という部分がなかったらまず観なかったであろうお粗末な作品である。吸血鬼映画のヴァリエーションが腐るほど作られている中、何度も映画化されたブラム・ストーカーの古典的小説に基づいて正統派吸血鬼映画を作ろうとした意図がそもそも理解できない。吸血鬼映画の原型を示したいのなら、スプラッター要素を排除してもっときちんと作らなければダメである。

司書ジョナサン・ハーカー(ウナックス・ウガルデ)が、ドラキュラ伯爵(トーマス・クレッチマン)の蔵書を管理する為にトランシルヴァニアを訪れるが、結婚したばかりの妻ミナ(マルタ・ガスティーニ)の親友ルーシー(アーシア・アルジェント)を訪問した後、ミナが到着する前にドラキュラに襲われてしまう。
 ミナが行方不明の夫を心配している時ルーシーが発熱し急死する。伯爵はミナに「死んだ妻に似ている貴女を呼ぶ為に夫君を利用して殺した」と告白して靡かせようとするが、そこへ吸血鬼対策の権威ヴァン・ヘルシング(ルトガー・ハウアー)が現れて退散する。

主要登場人物が原作やこれまで作られたドラキュラ映画に共通するので俳優名ではなく役名で物語を綴った。その物語は原作とは違うものの、僅かでもないと同時に、変えた意味を積極的に見出せるほど変わったとも思えず、さらにアルジェント作品の例に洩れず前後の脈絡がついていない部分が多くてぎくしゃくした展開に終始する。

後半はスプラッター度が増すが、意図的なのか技術的問題なのか、大昔のSFXのように見えるところが多く全体的に安っぽい。しかし、こういう安っぽさは必ずしも悪いわけではない。
 それよりデジタル撮影機材特有の艶(つや)がなく平板な映像のほうが問題で、これではアルジェント・ファンも泣いて泣く(泣いて喜ぶの否定語)。愚作。

ドラキュラのダリオ・アルジェント。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2015年12月06日 17:18
最近はドラキュラというだけでパスしてしまいます(^^ゞ
オカピー
2015年12月06日 18:45
ねこのひげさん、こんにちは。

当方も似たようなものですが、吸血鬼ものに関してはゾンビものよりは内容を検討してから観るかどうか決めますね。
 本作の場合は勿論「ダリオ・アルジェントの」という冠があったから。もう20年近く彼の作品に触れていなかったのでどうかなと思って観ましたが、完全に劣化していましたTT

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