映画評「チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密」

☆☆★(5点/10点満点中)
2015年アメリカ=イギリス合作映画 監督デーヴィッド・コープ
ネタバレあり

英国貴族にして詐欺師まがいの美術商チャーリー・モルデカイ(ジョニー・デップ)が、シリアのテロリスト(ジョニー・パスヴォルスキー)が絡む殺人事件に巻き込まれ、彼が狙ったゴヤの絵画のありかを突き止める任務を、同窓でもあるMI5のマートランド(ユワン・マクレガー)から頼まれる。
 その絵画を狙っている人々の誰かに密かに売ることで火の車になっている家計を賄おうと考え引き受けるが、テロリストは言うまでもなく、ロシアのマフィアや何やから襲撃されて珍騒動を繰り返す。ピンチに際しては、不死身の用心棒ジョック(ポール・ベタニー)が体を張って守ってくれる。
 が、探偵役としては一向に役に立たない彼の代わりに活躍するのは細君のジョアンナ(グウィネス・パルトロー)で、最後はオークション会場でこっそり絵画を入れ替えるドタバタ。

ふーむ、かつて米国人が英国人を主人公にばか騒ぎを起こさせた「ピンク・パンサー」シリーズを作り直したようなもの(特に序盤の中国人との取引場面は、デップの代わりにピーター・セラーズが出ていても全く違和感がない)で、かのシリーズもお笑いのタイプとしては程度が低かったが、時代が違うこともあってここまで下品ではなかった。本作は、近年米国コメディーの例に洩れず二種類の下ネタが満載、一方のセックス・ネタも露骨すぎて感心しないが、それ以上に米国人が最近妙に好むゲロ吐きシーンの多さに閉口させられる。汚らしいのは本当に困る。

英国の作家キリル・ボンフィリオリの冒険ミステリーを脚色したエリック・アロンスンは英国人であるとどこかで聞いたような気がするから一概には言えないながら、純粋にメジャー系の英国人が結集して作っていたらばここまで下品を寄せ集めたような作品にはならなかったであろう。寧ろ下ネタを排除すれば、イギリス流のお笑いに大笑いはできなくてもくすりと笑える可能性はあった。

お話にも不合理な部分が多いような気がする。特に幕切れで主人公たちは何故にゴヤの絵を下に潜めた絵画を苦労して置こうとするのであろう? 彼は詐欺師であるから価値のない絵をそのままオークションに付してしまう方が合理的であるし、結果的にそうなっている。こういう基礎部分がきちんとしていなければ、いかにばか騒ぎを眼目とした作品でもダメである。

1930年代夫婦探偵を主人公にした「影なき男」シリーズ(全て鑑賞済み)というのもありましたが、遠く及ばず。

監督はデーヴィッド・コープ。しかし、Koeppという綴りだからケープ若しくはケップと発音する可能性もある。だからゲップが出るような作品を作る。まして主演がジョニー・ゲップ(もといデップでしたな)ですから。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2015年12月21日 03:01
ジョニー・デップもだんだん壊れて行っている気がします。
有名になりすぎた人間の性ですかね。
オカピー
2015年12月21日 19:13
ねこのひげさん、こんにちは。

>ジョニー・デップ
昔から人気がある理由が解らなかった。
人気が再沸騰した要因の「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズも小汚いだけでしたし。
2015年12月22日 12:48
>ジョニー・デップ
「クライ・ベイビー」「シザーハンズ」「ギルバート・グレイプ」
は大好きです。
大ヒットシリーズの「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズはまだ見たことがない。縁がないというか、そんなに見たいと思わないせいで、テレビ放映があっても気が付かないんですね。
ブラッド・ピットにくらべると芝居はふつうにうまいと思いますが、ジョニー・デップもときどき変なこだわりを見せるのがね。ロック・スターならともかく、役者は損しますよね、変なこだわりがあると。タトゥー入れたりする人はちょっと偏りがあるのかな、好きな人にはそこがいいんだろうな、みたいな感想を持ってます。
オカピー
2015年12月22日 21:21
nesskoさん、こんにちは。

「ギルバート・グレイプ」はご贔屓のレッセ・ハルストレムの作品で非常に良かったですし、「クライ・ベイビー」は詳細は忘れましたが、悪くなかった記憶はありますね。
「シザーハンズ」は評判でしたが、ティム・バートンは苦手で、ウィノーナ・ライダーばかり見ておりました(笑)。

>変なこだわり
きちんとした演技のできる人ですが、仰るように、本人が好んで演じているような変な役柄の間に普通の役柄が入るような感じなので、好きになり切れません。
人気があっても良いと思いますが、「パイレーツ」以降長いこと人気独占状態が続いているのが理解不能。「スクリーン」誌の人気投票では、何しろ彼一人で50%以上の投票数を得ていましたものねえ。2位の人の10倍くらいでした。
日本的と言えばそれまでですが、異常でしたよ。最近はそうでもないのかな。

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