映画評「麗しのサブリナ」

☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1954年アメリカ映画 監督ビリー・ワイルダー
ネタバレあり

オードリー・ヘプバーンの主演作では「ローマの休日」(1953年)は勿体ない為「シャレード」(1963年)や本作を良く観る。本作に関しては1970年代から大体10年に一回くらい見ているから多分今回が5回目ではないだろうか。TVアニメシリーズの「ルパン3世」第2シリーズに本作にオマージュを捧げた回があったと思う。

コンゴロマリットを組織しているララビー家のお抱え運転手(ジョン・ウィリアムズ)の娘サブリナ(オードリー)は、プレイボーイである同家の次男デーヴィッド(ウィリアム・ホールデン)に恋い焦がれ、その熱を冷ますためにパリに料理修行に出る。
 2年後レディーとして磨きをかけ帰郷した彼女をデーヴィッドは識別できず、忽ち恋に落ちてしまう。しかし、それでは合併の為の政略結婚がダメになってしまうと、プラスティック製品部門の社長を務める長男レイナス(ハンフリー・ボガート)は、その恋路を邪魔すべく彼女とデートを始め、最終的には彼女をパリに戻すことを画策する。
 しかし、豈図らんや(これが本当の【“兄”図らんや】でござる)ミイラ取りがミイラになって実はサブリナにめろめろとなった彼は、独身主義を気取るが故に、合併をご破算にしても弟と彼女を結びつけようと変心、弟にパリ旅行をプレゼントする。思うに、彼が仕事に損を出しても彼女と弟と結びつけようとしたのは自分の心を誤魔化しつつ慰めを得る為の妥協的手段であったろう。弟も馬鹿にあらず、兄や彼女の本心に気付いて贈り物をお返しするのである。

原作となったサミュエル・A・テイラーの戯曲の出来も良かったのだろうが、さすがに共同脚色にも加わっているビリー・ワイルダーは才気煥発で、現在的視点で見れば単なるシンデレラ・ストーリーに過ぎないものを、上流階級に対する揶揄を織り込みながらロマンティックな気分を壊さない優れたコメディーに仕上げている。

ワイルダーらしく小道具の使い方も抜群に上手く、ズボンの後ろポケットに入れたシャンペン・グラスが思わぬ悪戯をする辺り絶好調と言うべし。柔軟性に富むプラスティック製品や帽子の活躍ぶりも見逃せない。ご指摘される方が多いように、ボガート兄が色々と画策をし始める辺りから中盤暫し調子が落ちるが、相対的なものであって、そうつまらなくなるわけにあらず。

ファッション史的には本作からサブリナ・パンツが大流行した。我々男性には余り関係ないものの、そうした衣装(ジヴァンシー)に彩られるオードリーの魅力なしには本作が名作たり得なかったことは間違いない。

違いが解る男のオードリー(昔のCMのもじり)・・・Audrey for those who can appreciate the difference.

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2015年11月15日 09:16
オードリーの美しさに見とれるばかりですがね。
まさに麗しのサブリナであります。

漫才コンビオードリーは、オードリー・ヘプバーンから名前を拝借したのかな?
オカピー
2015年11月15日 18:53
ねこのひげさん、こんにちは。

素敵だなあ、やはり。

>漫才コンビ
彼女のようにエヴァーグリーンでありたいということで付けた、とさる番組で紹介されていましたよ。

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