映画評「ドゥームズデイ」

☆☆(4点/10点満点中)
2008年イギリス=アメリカ=ドイツ=南ア合作映画 監督ニール・マーシャル
ネタバレあり

些か証文の出し遅れみたいな作品だなあと思ったら2008年製作であった。大した年月ではないが、流行に乗じたものは古臭くなるのも早い。尤も、本作には1980年代の映画から拝借した部分が大量にあって実際に温故知新的な作品でもあるのだが。

2008年にグラスゴーが正体不明のウィルスの襲撃に見舞われてスコットランドが古代ローマ時代よろしくイングランドとの境で封鎖されてしまう。
 これで病気は撲滅したと思われた2035年、イングランド側で病気が再発生したため、首相を陰で操るデーヴィッド・オハラは、27年前の災禍を潜り抜けて今は最強の軍人となっていた隻眼の美人ローナ・ミトラを隊長とする部隊を生存者が確認されたグラスゴーに送り、封鎖前のスコットランドでリーダー的存在であった医師マルカム・マクダウェルが完成したにちがいない特効薬を仕入れることにする。
 そこはパンク連中が牛耳るスラム街で、隊員は次々と殺されるか、食事にされてしまう。
 ローラは拷問されるが、医師の娘というマイアンナ・バーリングを案内役に同行の科学者と共に目的地に向う。スラム街が古代状態ならばこちらは文字通りの騎士が出て来る中世の状態で、彼女らはまたまた殺されそうになる。結局特効薬は生き延びたマイアンナその人と判り、彼女と科学者を連れて車で必死にイングランドに逃げる。

ここで再び現れたパンク連中から逃れるカー・アクションが大いなる見もので、彼らの風体からして明らかに「マッドマックス2」(1981年)からの拝借。ヒロインが隻眼で、潜入した閉塞的な場所から目的物を奪取し、必死に逃げるというシチュエーションは「ニューヨーク1997」(1981年)からの拝借らしい。

お話はそれなりだが、アクション描写がひどくてがっかりさせられる。昨今の作品だからカットが細切れなのはある程度なら妥協して観るしかないと思うが、ローナの格闘シーンの極端に短くかつ不適切なカット割りでは何をやっているのか全く解らない。こんなものをアクションなどと言って貰っては困る。それに比べれば、後半のカー・アクションがらみの戦闘はまだ見られるが、余り良いとは言えない。

一番面白いのは、一種のタイム・トリップ的進行で、最初に人々が顔に入れ墨を施しピアスをし人肉を食らうのは正に古代、医師が君主よろしく君臨している中世に移り、カー・アクションで現代に戻る。ここをもっと面白く演出できれば、★一つ分は余分に進呈できたが、現状では力不足。

変則的タイム・スリップ映画。僕はスピルバーグの「激突!」(1972年)もその一種と思っている。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2015年11月01日 09:29
いまの流行りで言えば、難民の民族大移動がウイルスみたいなものですが、21世紀になって国境閉鎖などという事態が起きるとは思いませんでしたね。
ある意味、イスラム国がウイルスみたいなもんですが・・・
オカピー
2015年11月01日 17:46
ねこのひげさん、こんにちは。

>イスラム国
言い得て妙。
英国、ソ連、米国が生んだウィルスがイスラム国といったところでしょうかねえ。

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