映画評「マレフィセント」

☆☆★(5点/10点満点中)
2014年アメリカ映画 監督ロバート・ストロンバーグ
ネタバレあり

「眠れる森の美女」の秘話であり、エンディングを全く変えた換骨奪胎版である。僕は記憶していなかったが、マレフィセントというのは前述作に出て来る魔女の名前とのこと。

本編の三分の一に当たる部分が魔女にまつわる秘話で、妖精であるマレフィセント(アンジェリーナ・ジョリー)は王座を狙う幼馴染のステファン(シャールト・コプリー)に騙されて大きな翼を奪われて絶望的な心境になり、先王の約束に従って王位に就いたステファンが設けた王女オーロラ(エル・ファニング)が永遠に眠り続ける呪いをかける、真に愛する者のキスを受けるまでという条件付きで。

秘話の部分は面白いが、その後がいけません。
 特に、フェミニズムをベースにした悪役の逆転という発想と、“真実の愛”絡みの部分は「アナと雪の女王」の完全なる二番煎じで、大いにがっかりの巻。
 呪いに関する設定にも疑問が多い。16歳の誕生日に呪いが実効すると解り切っているのだから、それまで秘密の場所に隔離するなど無意味ではありませんか。逆に、16歳の誕生日前日に城に戻って来るのだから益々妙なり。16歳になる前日に王女が三人の妖精を離れなければならない(という心境になる)理由もはっきりしない。

「アナと雪の女王」の二番煎じで、かつ、同作よりお話の整合性が不足しているのでは良い評価することはできない。残念でした。

魔法にかけられて」というけったいな日本語を披露したディズニー映画がまた「呪いにかけられて」というけったいな日本語を披露した。「罠にかける」という日本語はあるが、これらはありえない。「家を梯子にかける」とは言えないのとほぼ同じ理由。よく考えられたし。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2015年08月02日 07:33
たまに二番煎じとわかるような映画が公開されますがなぜでしょうね。
作る段階で気が付かないのか?間に合わなかったのか?
東京オリンピックのエンブレムも気が付かなかったんでしょうかね。
好意的にみれば、世界中のデザインを調べるわけにはいかんですからね。
ましてやベルギーの劇場なんて・・・というところでしょうか。
2015年08月02日 11:34
これ、言うと怒られるのですが、フェミニズム的おとぎ話の読み替えというのは野暮というか艶消しというか、私は苦手なんですね。エッセイのような形で話題にするのならともかく、作品にまでされると見ていて白けるのですよ。
ところで、「眠れる森の美女」や「赤ずきん」など、グリム童話とシャルル・ペローの童話だと趣がちがっていておもしろいです。ドイツとフランスの感性のちがいでしょうか。
オカピー
2015年08月02日 23:13
ねこのひげさん、こんにちは。

本作の場合は、同じ映画会社なので、間違いなく確信的に作っていますが、偶然重なるということもあるとは思います。
「アルマゲドン」と「ディープ・インパクト」は典型ですね。

>東京オリンピックのエンブレム
レタリングの類や音楽のメロディーは偶然似ることも多いと思います。
今回の場合は賠償金を取ろうとするなら感心しませんが、使用差し止めをするのはしようがない感じですかね。
オカピー
2015年08月02日 23:26
nesskoさん、こんにちは。

>フェミニズム的おとぎ話の読み替え
ディズニーに限らず欧米で流行っていますが、僕も余り感心しないですね。
まあ一応ネタ探しの光明を見つけたと印象を受けてはいますが。でも、何回も同じ手が通じるほど観客も甘くはないでしょう。

「眠れる森の美女」はグリム版は「~姫」でしたね? ど忘れしてしまいました。どちらも読んでいますが、グリム版の詳細は忘れちゃったなあ。
僕が読んだ「赤ずきん」はどちらだろう?

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