映画評「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2014年アメリカ映画 監督アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ
ネタバレあり

第1作は地味なところに加えて設計が余り良くなくて楽しめなかったが、この第2作は如何に? 

アベンジャーズ」で冷凍睡眠から蘇った直後のキャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンズ)が、自らの所属する国際平和維持組織(通称“シールド”)の長官ニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクスン)が警察に追われる事件に巻き込まれ、元ロシア・スパイの仲間ブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンスン)と共に逃避行をしながら、内部にいる敵の正体と狙いを探り、先の大戦で死んだはずなのに蘇った旧友バッキー・バーンズ(セバスチャン・スタン)と丁々発止の戦いを繰り広げることになる。
 バッキーの復活には第1作でナチスを上回る世界的陰謀を巡らしていた組織“ヒドラ(ハイドラ)”が関わっているわけで、このメンバーがシールドに入り込んでいる為、キャプテン・アメリカらはハイドラ共々シールドもつぶす決心をする。

能力がアップしたとは言えキャプテン・アメリカもブラック・ウィドウも生身の人間であるから、下手をすると地味になるが、上手く作れば大いにサスペンスが感じられる作品になる。今回は後者である。

そこに加えて、シールド内にハイドラに通ずる裏切り者がいることからスパイ・サスペンスの要素に、フューリーが警察に追われるカー・チェースが加えられ、物語的には多角的に、視覚的には頗る賑やかに作られているので、前作や中間作「アベンジャーズ」を忘れていても程々に楽しめる。

終盤のアクションがやや長くなりすぎた嫌いはあるが、もたれない程度に収まっている。気に入らないのは、馬鹿の一つ憶えの揺れるカメラ。映画言語的にこれはダメだと口を酸っぱくして言っているのになかなか聞いてもらえない(笑)。
 ショットが細切れすぎてカット割りにも不満があるが、細切れショットとしてはレベルが高い。例えば、シールドのおばさん委員に扮する大ベテランのジェニー・アガターがもの凄いアクションを繰り広げる辺りではカット割りが大いに効果を発揮している。アクション映画に縁のなかった60過ぎのジェニーにそんな芸当が出来るはずもなくスタントを交えることが必要であり、こういう時にのみこの手法は取られるべきである。生まれて初めて細切れショットのカット割りに感心させられた。逆に言えば、細切れショットはやはり誤魔化しの手法であることが確認できる。

最後に、ブラック・ウィドウは本名をナターシャ・ロマノフというのだが、アメリカでは男女平等でないといけないせいか(?)、男性形であるロマノフを使っている。ロシア語を叩きこまれた僕にはこれがどうも落ち着かない。ロシアでは、彼女は女性であるから、女性形ロマノヴァが使わられなければならないのだ。単に原作者の知識不足か?
 また、ニキータ・ミハルコフ監督の娘ナージャ(ナデージュダ)・ミハルコヴァが日本ではナージャ・ミハルコフとして紹介されている(クレジットやIMDbでは当然ミハルコヴァとなっている)が、どういう思惑があるのだろう。ミハルコフの娘であることを知らしめたいということか? ソ連・ロシアの女優が日本に何百人と紹介されている中、スラブ系以外の姓(これらにはロシア語の原則は適用されない)を別にすると、男性形で紹介されているのは彼女だけである。

ロシア語はマスターすれば理解が楽な言語だが、普通の人はすぐに落伍する。憶える文法が多すぎるのだ。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2015年06月14日 13:27
普段慣れ親しんでいない言語は難しいですね。
英語ーアメリカ語は20代30だいのころはけっこういけましたが、使わなくなると、小学生レベルに戻ってしまいました(^^ゞ

仲代達也さんが現在読売新聞で俳優になった経緯を連載(時代の証言者)されてますが、『人間の条件』の主役に抜擢されてラストシーンの撮影の時、本当の雪が降る中、主人公が雪に埋もれて死ぬシーンを撮影したとき、カットの声がかからず凍死するかなと思いながら気が遠くなり気絶しかけたらカットの声がかかったそうです。
CGのない時代は壮絶でありますな。
それだけ迫力のあるシーンになったという事でありますがね。
命がけであればいいシーンが撮れるとは限りませんけどね。
オカピー
2015年06月14日 21:40
ねこのひげさん、こんにちは。

>英語
言葉は使わなくなると、衰えますね。
英語に関しては、読むのはともかく、もう上手に作文できないかもしれませんねえ。
ロシア語は、もはや、挨拶しか聞き取れませんTT

>仲代達矢
昔の映画は凄いですよ。
監督は黒澤明みたいに怖い人・難しい人が多かったですし。
失敗して笑っている場合ではなかったんですよ・・・フィルム代だけを考えても。

>CG
仰る通りだと思います。
CGを使わなくても撮れるシーンは、極力実際に撮って欲しいですね。CGありきだと、お話も適当になることが多い。

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