映画評「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」

☆☆★(5点/10点満点中)
2013年アメリカ映画 監督アラン・テイラー
ネタバレあり

マーベル・コミックの数多いるヒーローの一人ソーを主人公にしたダーク・ファンタジー・シリーズ第2弾。
 しかし、その昔北欧神話「エッダ」を読んだ者としては、誰も本シリーズに絡めて「エッダ」の話をしないのは寂しすぎる。因みに、本作の原作であるコミックのベースとなった「エッダ」では、悪漢ロキはソール(ソー)の兄弟ではなく、父神オーディンの義兄弟である。ずる賢いという性格はそのままコミックにも受け継がれている模様。但し、僕が読んだ訳では剽軽者とも書かれていたように思う。

さて、本作に関しては、冒頭の“光と闇の戦い”といったような文言を聞いてげんなりさせられて、一気に興味が萎んだ。今世紀に入って何本の光と闇の戦いが作られたのだろうか。そもそもSFやファンタジーはたまに作られてこそ有難いという側面があったと思うが、CGを含むVFXの進歩でこのジャンル(に限らず)がドラマやコメディー同様に当たり前のように作られてきて、映画文化をつまらなくする要因となっている。
 僕自身が年を取ってきて、こういうチャンバラSFに食指を動かされなくなったという面が多分にあると思いつつ、同じようなタイプの作品は大量に作られないに越したことがないのは紛れもない事実である。

マーベル・コミックの映画化では他のヒーローとの関連性のある作品が多いのも困る。本作もお話が第一作の後に作られたヒーロー総登場の「アベンジャーズ」の後から始まっているようで、第一作や前述作の細かいところを忘れた当方が乗れないもう一つの理由になっている。

惑星直列の影響か何かで蘇った闇の帝王の野望を、雷神ソー(クリス・ヘムズワース)と弟ロキ(トム・ヒドルストン)が仲良く(?)砕くというお話が、兄弟神の葛藤や、ソーと天文物理学者ジェーン(ナタリー・ポートマン)の恋愛模様を絡めて進行するのだが、惑星直列だのエーテル(100年くらい前まで哲学者や科学者がその存在を信じていた“あれ”だろうか?)だの解るような解らないような学術用語で誤魔化しているだけで結局は戦いを見せたいのだろうという印象を禁じえず、闇との闘いはもう賞味期限と言うべきで、やはり面白くない。神様の大売出しもそろそろ限界だろう。

「TVで観ちゃダメよ」という声も聞こえそうだが、面白いか面白くないかはTVで観たほうが概ね正しく判断できる、というのが近年の僕の考え。但し、完全版の原語版に限ります。

ソーたちが神様なのか地球外生物なのかよく解らん。神様は不死が原則なれど、そうなるとサスペンスが生まれないので、パラレル・ワールドの神様もどきの王家の物語として設計されているようだね。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2015年03月22日 11:18
ねこのひげも『北欧神話』は読んでおりますので・・・・
正直『いいかげんにしいや!』と言いたくなりますが・・・・
現在のハリウッドではマーベルとデイズニーぐらいしか自社の資本で映画を作ることが出来ないそうであります。
子供のころから読んでいるコミックを実写されれば、フアンは観るわけで、黒字になることが保障されているというわけでコンスタントに作られるわけでありますね。

著名な監督や俳優は、有料テレビのほうに流れているそうであります。
有料なのでドラマシリーズがCM要らずでスポンサーの顔色をうかがう事もなく作ることが出来るので、非常に面白い作品が多いそうであります。
日本でも、そうなりそうな気配が濃厚でありますね。
オカピー
2015年03月22日 16:39
ねこのひげさん、こんにちは。

20年くらい前にはアニメしか当たらない子供文化の日本映画と揶揄していましたが、アメリカ映画が追って来た形であります。
映画ブロガーが減っているのは、(映画ブログを支えていたと思われる中年に)そんな現状にうんざりした人が多いからではないでしょうかねえ。ブログ自体が一時ほど流行らなくなったというのもあると思いますが。

>有料テレビ
そうなったほうが良いでしょう。

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