映画評「ローン・サバイバー」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2013年アメリカ映画 監督ピーター・バーグ
ネタバレあり

近年映画でよく取り上げられるようになったアメリカ海軍特殊部隊“ネイビー・シールズ”の活動を描いた実話もの。

2005年アフガニスタン、タリバンの幹部を発見して殺害する“レッド・ウィング作戦”に駆り出された4人の兵士(マーク・ウォールバーグ、ベン・フォスター、テイラー・キッチュ、エミール・ハーシュ)が、降り立った山岳地帯で偵察、タリバンの基地を発見するが、羊飼いの一行と遭遇、捕縛したは良いものの、非戦闘員である彼らの処分に困って、意見が対立する。通信状況が悪くて本部からの確認も取れない。結局解放した為に彼らの存在がタリバンに通報され、激しい戦闘が繰り広げられることになる。

最近の戦争映画はおしなべてドキュメンタリー・タッチであるが、本作はドキュメンタリー・タッチというよりは、戦争ドキュメントそのものである。従って、描写に多少の誇張はあっても、お話の起伏に乏しいものになっている。これは否定的な意見ではなく、誉めているとご理解されたし。
 翻って、誇張というのは、銃撃された彼らが急勾配の坂を転げ落ちる場面の扱いなり。描写が大袈裟なのではなく、日本テレビのスポーツ特番のごとく繰り返しがしつこく、臨場感に優れた本作において強調を超えた、わざとらしい演出となっていて余り感心できない。

結局は原作となったノンフィクションを書いたマーカス・ラトレル(ウォールバーグの役)のみが生き残るわけだが、彼の生還に大いに寄与する反タリバン派部落の存在に感銘を受け、思わず落涙した。彼らの人間性に泣いたのではない。この世界には色々な人間がいる、即ち、人類にはまだ可能性があると思えて泣けたのである。

ウォールバーグ扮するラトレル氏が彼らに助け出されて村で手当てを受ける場面で、村の人々の言葉を一切字幕にしなかったのは優れた判断と言うべし。これにより、何を言っているか解らないが故にまだ村民に対して疑心暗鬼の状態にある彼の心理と我々観客が同化する効果があるからである。

僕にとってはマイナスにしかならない大の苦手ウォールバーグの主演でも、本作は収穫と言える。

ローンと言えば日本では分割払いでしょ? 月賦に追われる人のお話かと思って観始めましたよ。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2015年03月22日 08:22
テロリストの所業を見ると、暗澹たる思いがしますが、人類もまだ捨てたものではないと思う事は多々ありますな~
オカピー
2015年03月22日 15:29
ねこのひげさん、こんにちは。

>テロリスト
アフリカでは子供に爆弾を付けるなんてこともありましたし、何千年も前の像を破壊したなんてことも。
自分の思想と違うからと言って、人間の歴史を調べる上で貴重な人類の遺産を破壊するとは・・・人類の敵ですよ。

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