映画評「最後の突撃」(1944年)

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1944年イギリス映画 監督キャロル・リード
ネタバレあり

キャロル・リードの珍しや、戦意高揚映画である。
 原案を「あるスパイへの墓碑銘」などのスパイ小説で知られるエリック・アンブラー、共同脚本をご本人と「ナイル殺人事件」(1978年)のエルキュール・ポワロ役でも知られる劇作家ピーター・ユスティノフが共同で担当している。撮影はガイ・グリーン。これだけの顔ぶれでも戦意高揚映画という枠の中では苦戦すると思いきや、なかなか優れた作品になっている。少なくともアメリカや我が国の国策映画に比べると、実にスマートである。

1941年英国、新聞記者スタンリー・ホロウェイら8名が国民総動員令により新兵としてデーヴィッド・ニヴン少尉の小隊に配属される。
 新兵への厳しい訓練模様が描写される際に上官への反感を中心に軽くユーモアが交えられているが、こうした部分は、戦後作られる兵隊コメディーならともかく、日本の国策映画ではまず考えられないであろう。

兵隊として成長していった彼らは、ロンメル将軍が撤退した北アフリカへ赴く際に船が被弾して懸命に最悪の事態を食い止めようとする。
 これが第一のアクション的見せ場で、何とか危難を切り抜けた彼らが戦地でドイツ軍に立ち向かっていく第二の見せ場へと繋がっていく。

戦闘場面のカット割りがさすがリードの面目躍如といったところで秀逸、本物の戦闘かと見まがう迫真性がある。カメラを揺らすことででっち上げるインチキとは雲泥の差。美術も大健闘で、建物の崩壊など本物としか思えない部分多々あり(本物?)。
 ただ、最近は本物の迫力を迫力と感じない若い人が多いらしい。CGによるオーヴァーな表現を見過ぎて価値観がおかしくなってしまっているのだ。

本作によりますと、英国の農民は兵役につかなくて良いのだそうですぞ。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

ナイス

この記事へのコメント

ねこのひげ
2015年03月15日 18:02
農民は兵役につかなくてもよいですが、貴族は国家のために命を投げ出さなくてはいけないそうです。
それが、イギリスで貴族の地位にいるという事だそうであります。
オカピー
2015年03月15日 20:49
ねこのひげさん、こんにちは。

>貴族
確かに本作でも、貴族ではないですが、記者やインテリがいの一番に駆り出されています。イギリスは良い国だなあ。

日本も貴族が一番先なら、戦争はなかったかもです。
これからの戦争は与党の政治家が一番最初に戦場へ行くべきでしょう。政治家に関しては年齢を問わないことにする。国をリードする者がいなくなる? 誰がやっても同じでさあ(笑)

この記事へのトラックバック