映画評「キック・アス/ジャスティス・フォーエバー」

☆☆★(5点/10点満点中)
2013年イギリス=アメリカ合作映画 監督ジェフ・ワドロウ
ネタバレあり

弱いヒーローと少女ヒロインの組み合わせという、スーパーヒーローものの常識を外した設定が面白く好評だったようで、3年ぶりに作られた第二弾。

前回父親を失ったものの悪党を退治したヒット・ガールことミンディ(クロエ・グレース・モレッツ)が、再び悪党に向かうべく立ち上がったキック・アスことデイヴ(アーロン・テイラー=ジョンスン)を鍛える反面、養父となった官憲マーカス(モリス・チェスナット)に説教されて高校生らしく振る舞わなければならないジレンマを抱える。その為に「キャリー」と同じような状況に陥って怒り心頭に達し、結局この後スーパーヒロインに戻ることを決意する。
 キック・アスの活動の眼目は、今やすっかり悪党に変身したレッド・ミスト改めマザー・ファッカー(クリストファー・ミンツ=プラッセ)をやっつけることで、最後はその一味と二人が率いる自警団グループとが勢揃いして対決する大騒動。

ヒーローが自身の存在や活動により悪や暴力が生まれるという矛盾に悩む様子を考えると、(特にイスラム過激派による)テロに対するアメリカの態度への観想すら感じさせるような部分があり、為に余り気勢の上がらない展開に終始する。

バイオレンスは過剰気味で、直接描写を避けているとは言え、余り感心できない。前作ではバイオレンスとお笑いの並置がかなり上手く機能していた感があるが、今回は全くダメで、お下品極まりないお笑いの中に残酷すぎるバイオレンスが並べられると、僕の保守的な部分が頭をもたげ、不謹慎であるという反感すら覚えてしまう。
 少女が高校生になったこと、弱いヒーローがそれなりに強くなったことも、スーパーヒーロー像の常識を外したところに第一作の面白さがあったことを考えると、大きなマイナスである。

監督がマシュー・ヴォーンからジェフ・ワドロウ(兼脚本)に代わって調子が落ちたといったところ。

深読みすれば、対テロ戦争は、結局は英米が正しいのだ、ということになる。日本もそこに加わるのかい?

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2015年03月15日 18:09
テロの原因を作ったのは欧米と言えますからね~
しかし一神教はろくなもんではありません。
日本の神話では、無から勝手に神様たちがわいてくることになっているんですがね。
池澤夏樹さんが現代語訳した『古事記』は俊悦でありますぜ。
ぜひ、ご一読を。
オカピー
2015年03月15日 20:33
ねこのひげさん、こんにちは。

>一神教
彼らの考える神は、皆同じものでそうですけど、どこでどう間違えたか、全く理解し合えない者同士になっている。宗教どころか宗派同士で殺し合いとは。

>『古事記』
個人編集の日本文学集ですね^^
『古事記』自体は昔、原文と現代語訳とで読んだことはありますが、十分興味あります。歴史書として位置づけられる『日本書紀』も読まねばと思っております。

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