映画評「キャメロット」(1967年)

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1967年アメリカ映画 監督ジョシュア・ローガン
ネタバレあり

多分アーサー王もまともに知らない十代の時、観始めて途中で寝てしまった記憶がある。従って、完投したのは今回が初めてだと思う。

6世紀英国に実在したと言われるアーサー王のお話はぐっと時代が下って15世紀に書かれたトーマス・マロリーの「アーサー王の死」がよく知られ、近世以降映画化や二次創作されているのはマロリーのものがベースになっている(はず)。「アーサー王の死」は非常に蔵書の貧しい我が山の図書館にもあった(中世文学集の中)が、結局読んでいない。
 最近は知らないが、一時期はアーサー王より妃グィネヴィアと円卓の騎士の一人ランスロットの悲恋の方が人気で王の出番が少なかったのが実情で、1970年代初めTVで観た「円卓の騎士」(1953年)もその十年くらい後に観た「剣豪ランスロット」(1963年)もランスロットが主人公だった。1983年「エクスカリバー」ではぐっとまともにアーサー王が扱われた代わりに、それまで観られた作品に比してロマンスの要素が少なかった。

ミュージカルである本作はその中間的な感じで、アーサー王(リチャード・ハリス)が完全なる主人公である一方で、ランスロット(フランコ・ネロ)とグィネヴィア(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)の悲恋が最も重要な要素である。理想郷キャメロット城を拠点に英国各国(ランスロットはフランス)から集った円卓の騎士を配下にきちんとした王政を敷いていたアーサーだが、二人の仲を囁く騎士たちを追放した後、情実的裁きではなくてきちんとした裁判制度を敷いたが故に、ランスロットは逃亡、グィネヴィアは裁判で有罪となり火刑に処されることになる。

裁判の後ランスロットが王妃の救出に現れるのを待つ場面に象徴される、理想的な君主像と人間的な生き方との狭間でアーサー王が苦悩する陰鬱な内容は、同じアラン・ジェイ・ラーナーの舞台ミュージカルの映画化としては「マイ・フェア・レディ」(1964年)ほど楽しくない。歌曲も思ったほど多くなく、史劇(アーサー王は伝説上の人物だから日本風に時代劇と言った方が近い、敢えて言うなら絵巻物)としてなかなか立派であるが、結局それが災いしてミュージカルと史劇の間で中途半端になった印象が残る。

曲については昔録った杵柄ならぬカセットテープでよく聞いていたのでお馴染みながら、レシタティヴ調に近い曲が多いのも僕には物足りない。監督は「ピクニック」(1955年)がお気に入りのジョシュア・ローガン。

ヴァネッサとネロはこの作品の共演で私生活でも仲良くなったのじゃろ。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2015年02月01日 10:10
日本でいうところの時代劇ですからね。こんあものでしょう。
フランコ・ネロ・・・・マカロニウェスタンを思い出しますな~
オカピー
2015年02月01日 21:47
ねこのひげさん、こんにちは。

>フランコ・ネロ
NHK-BSが昼間の西部劇枠(どうも大体火曜日らしい)で毎月一本ずつくらいマカロニ・ウェスタンを放映していますが、ジュリアーノ・ジェンマばかりで、ネロさん登場しませんねえ。
子供の頃はジェンマがヒーローでしたが、今見るにはネロの方が面白いかな。

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