映画評「虹を掴む男」

☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1947年アメリカ映画 監督ノーマン・Z・マクロード
ネタバレあり

ベン・スティラー監督・主演によるリメイクに合わせたオリジナルの放映なり。1970年代十代半ばで一度、恐らくその後一回見ていると思うが、今回のハイビジョン放映は解像度は言うまでもなく、色彩の美しさが抜群、感銘するほどであった。実際、本作が戦後劇場公開された時その色彩設計が高く評価されたようである。

出版社校正係のダニー・ケイは事あるごとに夢の世界に入ってしまい、母親フェイ・べインターや編集長から呆れられるやら叱られるやらの日々。
 夢想の中の彼はヘマで弱々しい現実とは違って、天才的な外科医であり、腕っぷしも強い賭博師であり、ナチスの飛行機を次々と撃ち落す空軍兵士である。そこにいつも絡んでくるのが美女ヴァージニア・メイヨで、その彼女(とそっくりの美女)が出勤途中に現れたから吃驚、しかも彼女のせいで殺人まで絡んだ争奪事件に巻き込まれてしまう。

お笑いの肝は、いつも夢見ているから現実に起きた異様な事件を誰にも信じて貰えない「狼少年」的シチュエーションで、アルフレッド・ヒッチコック監督「バルカン超特急」(1938年)の喜劇版のような愉快な場面が連続する。サスペンスとユーモアが実は近い関係にあることがよく解る例ではないだろうか。
 勿論、現実と夢との落差という可笑し味もあるものの、着想的には「狼少年」の部分が断然秀逸である。

夢の中でケイが色々なキャラクターを演ずるのもお楽しみで、その中でトランプやらで彼が様々な特技を見せる。この辺りは一時期リメイクの主演が予定されていたジム・キャリーに近い器用さを感じるが、阿呆型の中にインテリジェンスを感じさせるという点においてスティラーの方がこの作品のリメイクには似合うかもしれない。

発音上は同じでも、山田洋次監督作品のほうは「虹をつかむ男」でした。しかし、本作の原作も最近は「虹をつかむ男」の邦題で紹介されている。むむっ、ややこしいぞ。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2015年01月22日 00:47
妄想することはボケ防止にいいそうですが・・・・妄想か現実かわからなくなるのがボケだと思うんですがね。
オカピー
2015年01月22日 20:57
ねこのひげさん、こんにちは。

若いうちの妄想は良いでしょうが(?)、60を超えたらボケと言われても文句は言えないでしょうね(笑)

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  • 「虹を掴む男」

    Excerpt: 「LIFE !」が本作のリメイクとのことだが、内容は全く違った。 Weblog: 或る日の出来事 racked: 2015-04-29 14:58