映画評「マイヤーリング」

☆☆★(5点/10点満点中)
1957年アメリカ映画 監督アナトール・リトヴァク
ネタバレあり

19世紀末オーストリア=ハンガリー帝国で起きた皇太子ルドルフと男爵令嬢マリー・ヴェッツェラの情死事件はクロード・アネが小説化して人気を博し、まず1936年アナトール・リトヴァクがフランスで映画化し、日本では「うたかたの恋」の題名で公開された。本作は21年後の1957年にリトヴァク自身がアメリカでセルフ・リメイクしたTVドラマである。

尤も、当時のテレビは日本でもそうであったようにライブで捉えた舞台もどきのものなので、余り厳しさを求めることはできないが、カメラワークはそれなりに映画文法を考えたもので割合しっかりしている。舞台中継と一般的TVドラマの中間くらいの感触と言うべし。いずれにしても、半世紀以上前の生TVドラマにこうして日の目が当たり、まがりなりにも劇場で公開されるのは、オードリー・ヘプバーンが主演しているからである。

父王フランツ・ヨーゼフ(ベージル・シドニー)に指示されるままベルギー王女と結婚したものの、自由のない生活に嫌気がさしているルドルフ(メル・ファーラー)は、女性とのアヴァンチュールで憂さを晴らしている。そんな彼の前に、もはやそうした存在を疑っていた清純な少女マリー(オードリー)が現れ、恋に落ちて逢瀬を重ねるが、皇帝の知るところとなって縁を切ることを命令される。絶望した彼は狩猟と称してマイヤーリンクの山腹に彼女と一緒に出掛け、山荘で無理心中する。

実際にはもう少し複雑な事情があったようであるが、リトヴァクは先の映画でもこのTVドラマでも散文的な要素を排除、甘美さを追求して、成功している。

勿論一発本番では凝った演出も期待できず、まして本作はTV画面をカメラで撮ったという悪条件により画面の歪みが気になるなどムードを堪能しきれないが、オードリーの夫君ファーラーが相変らずつまらない上にオードリーの魅力も満開というわけには行かないとは言え、一応悲恋らしい気分は味わえる。僕にとっては未見のオードリー主演作が観られたのが収穫というに尽きる。

因みに、1969年にはテレンス・ヤングがカトリーヌ・ドヌーヴ主演でリメイクしている(邦題も同じ「うたかたの恋」)。僕は全部観ておるです。

因みに、主人公の母親である王妃は、ロミー・シュナイダーが「プリンセス・シシー」で演じたエリザベートでござる。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2014年12月23日 10:30
オードリーの美しさは卓越したものがありますからね。
しかし、ヨーロッパの王室貴族関係は親戚関係が絡み合っておりますね。
オカピー
2014年12月23日 18:21
ねこのひげさん、こんにちは。

これでオードリーの作品は一通り全て観たと思います。
後は繰り返して観るのみです。

>ヨーロッパの王室貴族関係
政略結婚ばかりで、欧州各国、皆親戚みたいなものです。
マリー・アントワネットもオーストリアに居れば、もう少し長生きできたでしょうにね。

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