映画評「アニーよ銃をとれ」

☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1950年アメリカ映画 監督ジョージ・シドニー
ネタバレあり

結果的にMGMミュージカルを代表する作品となった本作は、1973年以降四半世紀くらいMGMと作曲者アーヴィング・バーリンの裁判沙汰の為に公式に見ることが出来なかったそうで、僕がTVで観たのは最後の年1973年である。それから41年ぶりの鑑賞で、かなり記憶しているところもあったが、新米の映画ファンしかも当時はミュージカル好きとは言えなかったので、僕の中できちんと評価できるのは今回の鑑賞によるということになる。

アメリカに実在した女名射撃手アニー・オークリー(ベティー・ハットン)が、巡業に当地を訪れたバッファロー・ビル(ルイス・カルハーン)のお馴染みワイルド・ウェスト・ショーのメンバーであるフランク・バトラー(ハワード・キール)と腕比べで勝ったことで一行に加わることになる。お互いに惹かれながらも射撃の腕を巡ってはライバル関係である為に面白くないフランクはライバル興行主の下で働き始める。
 妹や弟たちを故郷に残してアニーは全米巡業の旅に出、それはさらに欧州巡業へと進展するものの、欧州巡業は各国元首へのお披露目の為にお金儲けにはならず、一行は子供たちが待つアニーの為に帰国する。
 間もなくバッファロー・ビルは商売の難局を解決する為にフランクのいる一座と合併するが、気の強い二人は再び腕比べと相成る。しかし、結局アニーはわざと負けてフランクの愛情を射止める道を選ぶ。

アニー・オークリーは有名なので、1935年に「愛の弾丸」でバーバラ・スタンウィックが彼女に扮したのを手始めに何度も映画やTVに登場しているが、何と言っても代表作はエセル・マーマンが彼女を演じた舞台ミュージカルを映画化した本作である。

エセルの代名詞となった名曲「ショウほど素敵な商売はない」There's No Business Like Showbusinessが本作でも使われている他、楽しいナンバーがいっぱい。
 ヒロインがホテルの庭で歌う"Doin' What Comes Naturally"は抜群の佳曲と言うべきであるし、アニーとフランクがライバル心をむき出しに口論する"Anything You Can Do"は相当面白い。列車で二人が二重唱する"They Say It's Wonderful"はムード満点、インディアンの養女となったアニーが歌う"I'm an Indian Too"の野趣も捨てがたい。

監督が「ショウボート」(1951年)などのジョージ・シドニーだから斬新さを出そうなどという気は微塵も感じさせず、為にMGMの典型的スタイルを踏襲する作品に留まったが、ストーリーの面白さ、楽しい曲の多さではMGMミュージカル史上でもトップクラスでありましょう。

個人的にベティー・ハットンの女性としての魅力はよく解らないながら、このはちきれた女性の役としては、病気で途中降板したジュディー・ガーランドよりふさわしいように感じられる。

ドルトン・トランボの傑作「ジョニーは戦場へ行った」Johnny Got His Gun の原題はこの作品のもじりなのかもしれないなあ、とずっと昔から思っています。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2014年12月23日 10:22
テレビの『アニーよ銃をとれ』はよく観ていました。
アニーを演じた女優ゲイル・デービスはかわいかって好きだった記憶があります。
オカピー
2014年12月23日 18:08
ねこのひげさん、こんにちは。

テレビ・ドラマの存在は知っていましたが、僕は全く記憶がないです。
僕がよく憶えているのは「ララミー牧場」や「バークレー牧場」ですが、
西部ドラマが当時は多かったんですね。

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