映画評「ダイアナ」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2013年イギリス映画 監督オリヴァー・ヒルシュピーゲル
ネタバレあり

別の映画評でも書いたが、ダイアナ元皇太子妃はあのような最期を遂げるのではないかと予感めいたものがあった。しかし、実際起きてみるとはさすがに言葉を失った。

ダイアナ(ナオミ・ワッツ)はチャールズ皇太子と別居した後パキスタン人の心臓外科医ハスナット(ナヴィーン・アンドリューズ)と昵懇の仲となるが、彼女の行動に影響されて外科医として集中できない為に彼は距離を置く。何とか彼を振り向かせたい彼女はエジプトの富豪令息ドディ・アルファイド(カス・アンヴァー)と親しくしているところをわざとパパラッチに撮らせるが、それが結局1997年8月末の悲劇の引きがねとなる。

余りに有名な人の実話とは言え、ハワード・ヒューズの伝記映画のようにしかと解らないところを想像でこしらえたお話という印象があるが、世評よりはきちんとした作りと受け止めた。
 まず一つは、息子即ち王子二人に会えないダイアナが対照的なパキスタン人の大家族に憧れ、ハスナットに益々傾倒していったのではないかと想像されること。
 もう一つは、地雷除去などの活動をメディアで報道させたのと同様にメディアを利用して恋人を振り向かせるようとした(と想像される)こと。
 全体としてさりげない扱いなので余り目立たないが、見た目よりきんとした設計の下に作られている印象がこの二点によりもたらされているのである。大げさに言えば、彼女の最期は好きな人に振り向いて貰えないことを理由とする一種の自殺であったと解釈できないこともない作りになっている。

ダイアナのイメージが壊れるとか、わがまま女とか、映画の批評とは本来関係のない部分で低評価する人が目立つが、そもそも純文学などは人間の嫌な部分を描くのが役割みたいなもので、メロドラマが同じことをしても全然構わない。それ以前に、これくらいでは嫌な部分とは言い難く、寧ろ人間らしいと言えるのではないか。

奇遇にもハスナットを演じたナヴィーン・アンドリューズには「イングリッシュ・ペイシェント」(1996年)で再会したばかり。しかも僕がかの映画を観たのは彼女の死の直後であったと思う。

客死したダイアナは正に「イングリッシュ・ペイシェント」でありました。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2014年11月02日 12:01
破滅に向かってまっしぐらでありますね。
チャールズのだらしなさが原因でありますが・・・
いかにもイギリス貴族らしいといえば貴族らしいですけどね。
昔から騒動が好きなお国柄のようであります。
オカピー
2014年11月02日 17:50
ねこのひげさん、こんにちは。

日本と違って英国王は元首とは言え、政治家としては日本の天皇とほぼ同じ位置にあり、すごく似ていますよね。
それでも、日本の皇族方に比べて自由が多いのでしょうか、不倫はするわ、勝手にデートはするわ、でちょっとした内輪の事情が雑誌を賑やかす日本とは違って驚くのであります。
日本だって昔はもっと自由であったろうに、きっと明治時代からがんじがらめになったのでしょうね。

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