映画評「連合艦隊司令長官 山本五十六」(1968年版)

☆☆☆(6点/10点満点中)
1968年日本映画 監督・丸山誠治
ネタバレあり

昨年の年始に見たほぼ同名の2011年作のオリジナル版とでも言うべき作品で、インテリ軍人・山本五十六を三船敏郎が演じるのがお楽しみ。個人的には「トラ!トラ!トラ!」(1970年)の理に落ちる山村聰が一番似合うが、豪快な三船氏も悪くない。

アウトラインは2011年作とほぼ同じなので、少し変更して紹介しておきましょう。

1930年代末、日独伊三国同盟を強硬に推し進めようとする多数派に対し海軍次官・山本五十六は反対を訴え、アメリカとの戦争は国力の差を理由に否定的な立場を取る。独ソ不可侵条約で意味を失った三国同盟が一度頓挫した頃連合艦隊司令長官に就任した山本は、ドイツのソ連進撃により結局三国同盟が締結された後、アメリカへの最後通告を条件に真珠湾攻撃を敢行させるが、真珠湾攻撃は成功であると祝杯気分のムードとは裏腹に山本は空母を攻略できなかったことをもって事実上の失敗とみなす。その半年後から米国の巻き返し急で、日本軍は徐々に追い込まれ、42年ミッドウェー海戦において主力空母4隻を失い、後は御承知のように下り坂を下るばかりになる。そして、43年4月18日巡視の為にラバウル島を飛び立った山本は、情報を察知していたアメリカ軍にポイント攻撃され、ブーゲンビル島上空で戦死する。

2011年作に比べて山本五十六だけが目立つ印象がある一方、同作ほど細かい人物像彫琢がされていず、日本敗戦への道筋が山本司令長官を中心に講談調で描かれている印象が強い。良く言えば線が太くて力感があり解りやすいが、悪く言えば大味である。

いずれにしても、結果的には山本長官の見通しが正解であったわけで、皮肉にも戦争反対(反戦主義ではない)の立場の彼が太平洋戦争の総責任者のような形で追い詰められ、死を覚悟して視察に旅立っていくような印象を残す幕切れにはじーんとさせられるものがある。

SFXとしては上出来の部分と安っぽい部分が併存しているが、これはこれで大いに楽しめる。真珠湾攻撃の場面では「ハワイ・マレー沖海戦」(1942年)のカラー版再現があってニヤニヤさせられる。若い諸君からはCGに比べて云々という意見が出るだろうが、単純に比較するのも能がないと言うべし。

反戦主張が再び非国民扱いとなる日が来ないように切に願います。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2014年11月16日 10:51
戦争を経験した世代が消えていく頃に再び戦争が始まるようですね。
根源的になにかあるんでしょうかね。
宮崎駿さんなどは、戦争に反対する割には、異常に戦争の道具に詳しいですからね。
オカピー
2014年11月16日 15:12
ねこのひげさん、こんにちは。

そんなものでしょうね。
だから半世紀から3/4世紀が過ぎる頃戦争は起こる傾向があります。

>宮崎駿さん
軍国少年だったと言っていますね。だから、寧ろ戦争反対の立場になったのだ、とも。
だから、反戦や憲法9条護持を主張する人より、その反対の立場の人の方が“平和ボケ”しているという一部の理屈も解ります。

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