映画評「ウルヴァリン:SAMURAI」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2013年アメリカ=イギリス合作映画 監督ジェームズ・マンゴールド
ネタバレあり

「X-MEN」シリーズのスピンオフ作品第2弾。シリーズの中ではミュータントが忍術を色々繰り出す忍者のように見えて楽しい第3話を世評とは逆に買っているのだが、このスピンオフ第2弾は日本が舞台で、本当に忍者が出てきた。いかに何でも現代日本に忍者は居ませんて。それ以外の我が国の描写についてはまずまず正確(許容範囲)と思われる。

長崎で原爆に遭遇した時に日本の若い軍人を助けたウルヴァリンことローガン(ヒュー・ジャックマン)は、半世紀以上経った今、世界的企業のトップになっていたその人物・矢志田(ハル・ヤマノウチ)から招聘される。死ぬ前にお礼を言いたいというのだ。
 その遣いとなった養女ハルオ(福島リラ)は死に関する予知能力のあるミュータントで、不死身であるはずのウルヴァリンの死を見たと告げる。
 末期症状の老人はロシア人女医ヴァイパー(スヴェトラーナ・ホドチェンコヴァ)の管理の下完全看護されているが、孫娘マリコ(TAO)を守ってくれと言って程なく亡くなる。葬式にはマリコの婚約者の外務大臣に加え、孫娘を殺そうとしているヤクザ連もこっそり参加、早めにそれを見破ったローガンは不死身である力を女医にこっそりと奪われつつあったために重傷を負いながら一旦は守り抜く。

日本を舞台にすると大概失敗して面白くなくなるのが昔のハリウッド映画だったが、最近は冒頭で述べたように描写が大分改善されているし、本作など日本文化をなかなかうまく生かしている。多少変なところを含めて中盤までが面白い所以で、新幹線の上でのヤクザとの一騎打ちは相当楽しめる(但し、相手のチンピラ・ヤクザが平凡な人間であるはずなのに超人的すぎ、どなたかの仰るようにミュータントとの差別化がなされていない感を抱かせる。ローガンが不死身ではなくなっている最中の出来事とは言え、それでは説明しきれない)。

しかし、面白いのはこの辺りまでで、スノッブな実父(真田広之)の遣わしていたヤクザにマリコが拉致されて以降大分失速する。権力を巡る肉親同士の争いという図式も物足りず、まして永遠に若く生きる野望を抱いていた老人が欲の塊である正体を現す最終盤は月並みも良いところである。

ただ、アクション描写が最近の映画にしては相当長回しで極めて具体的、細切れカットが当たり前の時代にあってこういう反骨精神さえ感じさせる見せ方をするジェームズ・マンゴールドのタッチが気に入り☆★奮発。「“アイデンティティー”」で注目した監督だけのことはある。

一週間後の8月9日にアップする手もあったけど、そこまでやらなくても良いじゃろ。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2014年08月03日 08:22
『ウルヴァリン』1作目はDVDを買ったので、これも買おうかと思っております。
けっこう気に入ってます。
現代でも、日本に忍者がいると思って来日する欧米人は多いようですよ( 一一)
「どこに行きたいですか?」と聞くと「忍者に会いたい」と言われて困惑するそうです。
オカピー
2014年08月03日 20:15
ねこのひげさん、こんにちは。

「X-MEN」シリーズはある意味忍者ものみたいなので、割合楽しみました。スピンオフの「ウルヴァリン」もなかなかやります。

>「忍者に会いたい」
忍者村なんてありますけど、観たらがっかりするでしょうよ(笑)

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