映画評「25年目の弦楽四重奏」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2012年アメリカ映画 監督ヤーロン・ジルバーマン
ネタバレあり

鑑賞順序を無視して本作をアップしたのは、お解りでありましょう。そう、ロビン・ウィリアムズ逝去の報を受けたからでござる。本作にウィリアムズは出ていないが、今日映画評の形で捧げるとしたらこの作品しかなかったのだ。

三か月前に見たダスティン・ホフマン初監督作「カルテット! 人生のオペラハウス」は声楽だったが、こちらは邦題の示す通り弦楽。

四半世紀にわたり“フーガ”という弦楽四重奏団を組んできたメンバーのうち最高齢のチェリスト、クリストファー・ウォーケンがパーキンソン病を発症して25年目の今季限りで引退すると告げる。すると、フィリップ・シーモア・ホフマンが第二ヴァイオリニストに甘んじて来た不満を表に現し、妻でもあるビオラ奏者キャサリン・キーナーは引退宣言と夫の自我噴出にショックを受けて自分も引退したいなどと言い出す。一番若いが第一ヴァイオリニストとしての矜持が強いマーク・イヴァニールが、ホフマンたちの娘で将来有望なヴァイオリニスト、イモージェン・プーツと懇ろになった為両親は怒り心頭に達し、四人の関係は瓦解寸前に至る。結局、演奏途中でウォーケンは観客に引退を宣言し、実績のあるチェリストの二ナ・リー(ご本人)に引き継いだところで、幕切れと相成る。

「カルテット!」同様、演奏におけるアンサンブルは同時に人生におけるアンサンブルであるという構図のうちに進行するお話で、人生劇としての厳しさではダスティン・ホフマン作に大分優る。演奏における立場がそのまま実生活を映すアレゴリーになっているなど面白く観られ、劇映画としては初メガフォンになるらしい兼共同脚本のヤーロン・ジルバーマンの展開ぶりもなかなかきちんとしている。

21世紀になって個性的な演技派として非常に目立つ活躍をしたフィリップ・シーモア・ホフマンが本作の日本公開の半年後に亡くなった。例によって薬禍らしいが、もの凄い可能性を感じさせる逸材だっただけに誠に残念でならない。
 このところ続く若い一流俳優の残念な死は、ジム・モリスン、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリンと立て続けに大物を薬禍で失った1970年頃のロック界を彷彿とする。★一つは彼への香典として進呈したい。合掌。

と、本来の映画評はここで終わっていたのだが、有名人の死について考えている折にウィリアムズの報を聞いた次第。昨晩訃報の届いたローレン・バコールのように高齢による自然死・病死ならともかく、言葉にならない。

亡くなったホフマン氏、吾輩と誕生日が同じでした。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2014年08月14日 18:34
仕事に対する苦闘からドラッグに手を出してしまう事が多いようですが・・・
天寿を全うして大往生を遂げて欲しかったですね。
その点、ローレン・バコールは見事でしたね。
『脱出』で知り合い、結婚して旦那の最期をみとったのですからね。
世間的には、『カサブランカ』の方が高い評価を受けているようですが、ねこのひげは『脱出』の方が好きでありますね。
オカピー
2014年08月14日 22:14
ねこのひげさん、こんにちは。

はたから見れば成功者でも、やはり、苦労はあるものなんですね。
人間って悲しいなあ。

>『カサブランカ』
僕もこの映画は高く評価されすぎていると思いますね。
台詞は良いけど、お話の構成などは少し弱いのではないでしょうか?
展開のタイトさでは、ハワード・ホークスの「脱出」が上でした。

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  • 『25年目の弦楽四重奏曲』

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