映画評「セレステ&ジェシー」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2012年アメリカ映画 監督リー・トランド・クリーガー
ネタバレあり

ドラマ映画は人々の公約数的行動を扱うことが多い。かつての恋愛映画はともかく、最近の恋愛映画はロマンスの成り行きに特化せず、人物像を見せる準ドラマ化している傾向にあるから、登場人物への共感が評価の分かれ目になることが多いかもしれない。しかし、登場人物への共感若しくは感情移入が重要になるのは、寧ろ、人物ではなくお話そのものへの興味を喚起することが目的のジャンル映画ではないかと思う。ドラマ映画は人物の変化を扱うことが多いから、好きになれないような人物でも本来は問題がないはずだ。
 本作を評価しない方の多くが、どうも、ラシダ・ジョーンズ演ずるヒロイン、セレステへの嫌悪感を理由としている。お話から説明していこう。

彼女は大学生の時から意気投合して結婚し今でも仲が良いアンディ・サンバーグ(役名ジェシー)と隣り合っている建物で別居している。彼女がトレンド分析企業なるものを立ち上げ、彼が依然売れないデザイナーというのが背景にあるようで、仲が良い友人としての関係は続け、いつもいちゃいちゃしている。二人の共通の友人アリ・グレイナーとエリック・クリスチャン・オルセンはそんな関係は不自然と言う。
 彼女としては働きのない夫を見下してもいるようである一方、この付かず離れずの居心地の良い関係がずっと続くかのように思っているが、夫がベルギー出身の女性レベッカ・デイアンを妊娠させ離婚を正式に切り出したことから慌て、パニックになる。

つまり、否定派としては、高飛車で夫を自分に合わせ自分の都合よく生きようとしている彼女の生き方がいかんということなのだろうが、人間誰しもこの程度の欠点は持っているし、その欠点があるからこそ後半の彼女の慌て具合がコミカルで面白くなるというものだ。
 映画に評価を下す者としては、例外的なケースが幾つもあるものの、人物への共感度と映画の評価はなるべく混同したくない。最終的にヒロインが別の男性に希望を見出すというお話なのだから、お話の興趣、タッチの良し悪し、ショットやシーンの繋ぎの呼吸といった部分を評価基準とすべきだろう。

下ネタが多いのは昨今のアメリカ映画らしくて僕は余り好かないのだが、これだけ色々な映画で扱われているということはごく日常的なのにちがいない。僕が付き合っている人だけかもしれないが、きっと現代の日本人は品が良いのだ。面白さもタッチも場面転換の呼吸もほどほど、TVで観る分には十分お釣りが出る。

「セレステ∞ジェシー」の別邦題あり。二人の関係は永遠ではなかったけどね。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2014年07月20日 18:41
日本人もけっこう助べえとは思いますがね。
肉食人種ほどではないであります。
よく我慢できるなと言われたことがありますが、好みがうるさいのでありますよ。
オカピー
2014年07月20日 21:34
ねこのひげさん、こんにちは。

多分、日本人は戦後上品になりました。
この辺りも戦前は色々やりたい放題だったようで、ややこしい人物相関図があります。
爺さんが自分の息子の嫁と出来て子供を儲けたり。その子供は今年姉を失いましたが、姉であると同時に姪でもありました。

実際に行動に移す好色と下ネタを笑う文化には差があるようで、助平であっても日本人は性を隠す文化が根強いのでしょうね。

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