映画評「ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝」

☆☆(4点/10点満点中)
2011年中国映画 監督ツイ・ハーク
ネタバレあり

「残酷ドラゴン 血斗!竜門の宿」(1967年)をツイ・ハークがリメイクした「ドラゴン・イン」(1992年)は大量の星こそ進呈しなかったが、マギー・チャンとブリジット・リンの二女優の魅力でかなり楽しめた記憶がある。
 本作は一種の続編のようで、ツイ・ハーク自身が「ドラゴン・イン」の一部の設定などを利用し、武侠アクションにファンタジー要素を大量にふりかけたような作品である。四名の女優陣がアクションに活躍するのはその名残りと言うべし。

明代、皇帝の子供を宿したため貴妃の息のかかった宦官ユー(チェン・クン)から追われる身となった女官スー(メルヴィス・ファン)を助けた女侠客リン(ジョウ・シュン)は、辺境の砂漠にある宿屋“龍門”に辿りつく。スーを追うユー以下の部隊も出現、60年に一度砂漠の下から現れる宮殿にあるという宝物を狙って情報屋フォン(チェン二役)とグー(リー・ユーチュン)も現れ、そこには韃靼人のグループもいる。さらにリンとも因縁のある当局のお尋ね者ジャオ(ジェット・リー)が現れ、最初の三すくみからやがて宦官側と残りのグループとの対立という様相を呈していく。

お話の構成には相当難がある。
 女官の逃亡・追撃の興味で暫く進んでいたのに、最後はひたすら秘法を巡る争奪戦になり、著しくバランスが悪い。そのバランスの悪さには実はスーがユーのスパイであったという理由がある。しかし、これはこれで訳が解らない。ハーク先生としてはジャオを捉える為のスパイとして送ったということなのだろうが、リンとの関係も解らないままにジャオがあんな辺境に現れるのを想定するのは実に変である。ユーが督主としてトップに立つ西廠はスパイ組織なのである程度説明がつくにしても、そうすると今度は序盤の逃亡劇に無理が出て来る。一種のどんでん返しを狙って可笑しなことになった典型と言うべし。

ユーとフォンがそっくりという辺りを作劇にもっと生かせればなかなか面白いお話になったと思うが、この辺りもひねりが足りず物足りない。しかも、僕は香港・中国製のアクション描写の長さにうんざりしている方なので、三分の二くらいはアクションと思える本作でも退屈を誘われる個所が多い。

CGの質感を評価に加味することにはさほど賛成できないものの、それにしてもここのところ見る香港・中国映画のCGの質はSFX時代の書き割りの絵をも下回るのではないかいう低レベル。昔からの実写映画ファンとしては本当の実写と区別できないと困ることもあるので必ずしも悪いことではないのだが。

何も思いつかないので、「いつもの最後の一行コメントは無し」を一行コメントにします。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2014年05月25日 11:38
ねこのひげは中国の大げさな時代劇チャンバラ映画はけっこう好きなんですが・・・
毎度ながら首を傾げさせるストーリーには困ったものであります。
オカピー
2014年05月25日 21:04
ねこのひげさん、こんにちは。

理詰めで観てはいけないんでしょうけどねえ。

僕が好きな香港・中国武侠アクションは、大分前の「テコレッタ・ウォリア」。武侠ファクションと言っても秦時代の兵士が1930年代に蘇って戦うファンタジーなんですが、アイデアが非常に良かった。

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