映画評「眼下の敵」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1957年アメリカ映画 監督ディック・パウエル
ネタバレあり

2009年の日本映画「真夏のオリオン」は本作から本歌取りしていたが、回想を使いすぎて失敗した。中学の時に初めて観て恐らく今回が三度目の鑑賞となる戦争映画である。

第二次大戦中の南大西洋、ロバート・ミッチャムを艦長とするアメリカの駆逐艦と、クルト・ユルゲンスを艦長とするドイツの潜水艦が接近遭遇する。
 二人の艦長は甲乙つけがたい戦術の達人で、先と裏を読んで行動を取る。海上と海底とで全く音を立てずに互いに様子と攻撃の機会を伺っているかと思えば、ユルゲンスが居場所を知られるのを覚悟してレコードをかけて部下を鼓舞する歌を歌う奇策も出てくる。駆逐艦からの爆雷と潜水艦からの魚雷の撃ち合い、避け合いの面白さ! 

アメリカ映画ではあっても一方的に「アメリカ勝て!」というお話ではなく、二人の好敵手ぶりを見せることに徹したゲーム感覚の面白さがある。
 Allcinemaの解説が奇しくも使っているように、“ゲーム感覚”という言葉がこの映画にふさわしい。かと言って、最近の映画のように“ゲームそのもの”に陥っていない。要は、二人の知恵の絞り具合に血も肉もある人間がよく感じられる、人間が感じられるからその応戦が真に面白いのである。
 最近の映画の中には登場人物がコンピューター・ゲームのように死んでも生き返るのではないかなどと思わせる作品がある。それでは面白くないし、映画とは言いがたい。

幕切れの、だまし討ちの後ヒューマニズムを見せるのは帳尻合わせのように感じなくもないが、序盤の言動から暗示されるように人間として相手を見ると非人道的な行動は取れないという両者の立場が具現化した場面として十分理解できるからさして無理はないと思われる。

さすがにパウエル、と言おうと思ってよく考えてみたら、戦争映画の秀作が多いのはマイケル・パウエルの方で本作を作ったディック・パウエルではなかった。

映画に関係ない一言。車の上と周りが雪だらけ。今日は出かけないけれど、雪かきしないとどこにも行けそうにない。しかし、積もったなあ。生まれて最高の積雪量かもしれませんぞ。

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この記事へのコメント

2014年02月09日 11:54
ディック・パウエルでしたねぇ。
僕もいつの間にかマイケルさんの方だと記憶がすり替わっていましたよ。
マイケル・パウエルは「シュペー号」の方でした。

レンタルにもあるので何時でも観れるという安心のある本作。
僕も2度くらいTVで観たと思います。面白かった。
オカピー
2014年02月09日 16:20
十瑠さん、こんにちは。

パウエル違いというやつでして、年を取るとダメだなあ、記憶がこんがらがる。
マイケルさんのほうは、「戦艦シュペー号の最後」と前後して作った「将軍月光に消ゆ」も面白く、もっと前の「老兵は死なず」も滋味あふれる秀作でした。
ディックさんは、確か俳優出身。

100分を切る短い作品なので、地上波でも2時間枠ならほぼノーカットで観られる。最初観たのは衛星放送など影も形もない中学生の頃ですが、結果的にほぼノーカットで観られたのは幸せでしたね。
あの頃観た古い映画の中には相当カットされたものもあったんだろうなあ。今のように情報がないから、どれくらいカットされているかなど調べようがなかったから何でも観ましたよね。

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