映画評「ライトシップ」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1985年アメリカ映画 監督イエジー・スコリモフスキー
ネタバレあり

ポーランド時代のイエジー・スコリモフスキーの作品は一人合点で訳が解らないものばかりだったが、英国で撮った「早春」(1970年)やアメリカで撮った本作はぐっと解りやすい。本作に至っては殆どサスペンスと言っても良いくらいの内容ながら、シーンの繋ぎに一人合点的なところがなくもない。

灯台船船長クラウス・マリア・ブランダウアーが親子関係を修復しようと、不良めいた息子マイケル・スコリモフスキーを警察から引き取って乗船させた直後、漂流しているところを救助してやった数人組の悪党連中に船を乗っ取られる。船を動かさないことを信念とする船長は脅迫に屈しない代わりに明確な反撃も指示しない。その間に試みられる乗組員の反撃は失敗に終わるが、息子は徐々に父親を理解していく。

サスペンスに近いと言っても、眼目はハイジャッカーからどう逃げるか、或いは、どう一味をやっつけるかということではなく、乗っ取り側との対決模様の中に親子のもつれる心理の綾を描くことである。だから映画が終る段階で、一味のボスであるロバート・デュヴォールは殺されもせず、乗員が難から逃れるわけでもない。ただはっきりしているのは父親を襲おうとしている一人を少年が刺すことのみ。これが少年の父親への心服に近い理解を表現する手段になっているわけである。しかし、語り手である少年の背景がよく解らないので、きちんと消化しているという印象を持つのが難しく、全体としてそう高く評価することはできない。

黒人乗組員の鳥をめぐる挿話での小道具の使い方は上手く、「早春」幕切れのライトを思い出させる迫力がある。

ハイジャックは強奪のこと。飛行機には本来関係ないのであります。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2013年09月08日 01:26
わかりやすくはなってますが・・・・半生な状態で消化不良を起こさせそうな内容でありましたな~
持ち味なんでしょうがね・・・(~_~;)
オカピー
2013年09月08日 20:43
ねこのひげさん、こんにちは。

これは引き受け仕事らしいのでまだ解りやすいですが、自分の脚本ですと遥かにわけの解らないことになる監督ですからねえ。

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