映画評「Virginia/ヴァージニア」

☆☆(4点/10点満点中)
2011年アメリカ映画 監督フランシス・フォード・コッポラ
ネタバレあり

フランシス・フォード・コッポラという監督は元来変な作品を撮る人で、「ゴッドファーザー」が当ってしまってすっかり本人も大作監督の気になって「地獄の黙示録」などを作ったが、近年、映画作家としてスタートを切った当初の小資本スタイルに戻った感じである。
 「コッポラの孤蝶の夢」は完全に幻想的な作品、続く「テトロ 過去を殺した男」も幻想趣味のある作品で、今回も現実と夢が交錯する幻想的恐怖映画、どちらかと言えば恐怖的幻想映画(笑)である。

スランプというか元来大した才能もなさそうなオカルト・ホラー作家ヴァル・キルマーが、エドガー・アラン・ポーが逗留したという寒村(一応町か?)に立ち寄るところからお話が始まり、早速亡霊と思しき美少女エル・ファニング(役名ヴァージニア)と出会って心惹かれ、老保安官ブルース・ダーンの誘いに乗る形でこの町で昔起きた大量児童殺人にまつわるホラー小説の共同執筆に取り掛かる。その結果、夜な夜なポーの幻影が(夢に)現れ、やがて神父が近所に留まっている吸血鬼から護る為に12人の児童を殺し、一人難を逃れた少女が即ちエルで、彼女は吸血鬼になった為何者かに杭を打ち込まれたと判明する。

ポーやホイットマンの詩集「草の葉」の稀覯本(きこうぼん)を出すなど趣味性を前面に出しているので「胡蝶の夢」同様これも「コッポラの夢」と言って良い作品で、眼目は色々と怪奇・恐怖・幻想小説を書いたポーが作家の夢に降り立ち、事件を解決に導くという部分であろうが、一人合点が目立って難解、「胡蝶の夢」のように解ったような気にもさせて貰えない。
 その最大要因は、作家が杭を抜いたエルに襲われてどうなったか解らないまま、この事件をベースにした小説が一応小ヒットして、作家がお金の問題を抱えた細君の許に戻ったという散文的な後日談を示したこと。これで却ってわけが解らなくなった。

よく言えばベテラン監督がポーで徹底的に遊んだ一編。ポーとポーの作品に関する知識が必要な上に訴求力に乏しく、些か貧弱な作品と言わざるを得ないのが残念ではあるが。

初期の珍品「グラマー西部を荒らす」はいつか観られるかな。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

ねこのひげ
2013年09月29日 09:02
コッポラは変な視点のある映画作家ですよね。
『ゴットファーザー』の成功がなければB級映画の監督で終わったかも。『地獄の黙示録』も大作ですが、変な映画でした。
おかげで6回?も破産してますが・・・・
それでで平気なのがすごいですな。
娘さんもちょっと変わった監督でありますね。
彼女の映画に出演したダイヤモンド☆ユカイさんによれば、『ロスト・イン・トランスレーション』の主演のビル・マーレイと四六時中喧嘩していたそうです。
オカピー
2013年09月29日 21:32
ねこのひげさん、こんにちは。

>破産
「ワン・フロム・ザ・ハート」などといった金をかけなくてもでき、かつ、そうヒットもしそうのない作品に莫大な金をかける変な人ですからねえ。
そういう意味では、スピルバーグは堅実です^^

>娘さん
そんな裏話がありましたか。
ビル・マーレイにしてみれば“ロスト・イン・フラストレーション”だったかもしれませんなあ。どちらかと言えばストレスか?
あの映画以来、ソフィア女史の面影は、すっかりスカーレット・ヨハンソンのイメージです(笑)

この記事へのトラックバック

  • Virginia/ヴァージニア

    Excerpt: 全てエドガー・アラン・ポーへのオマージュ 公式サイト。原題:Twixt(古語、詩語でbetweenの意)。フランシス・フォード・コッポラ監督、ヴァル・キルマー、エル・ファニング、ベン・チ ... Weblog: 佐藤秀の徒然幻視録 racked: 2013-09-29 22:58