映画評「決闘の大地で」

☆☆(4点/10点満点中)
2010年アメリカ=韓国=ニュージーランド合作映画 監督イ・スンム
ネタバレあり

日本がハリウッドへの素材提供(所謂リメイク、原作アニメ、ゲームなど)に留まるのに対し、こういうタイプの合作映画が作れる韓国映画界は積極的にかの地で活動しているということなのだろう。韓国武侠映画と西部劇の合体で、着想的に三池崇史の「スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ」に似ているところもあるが、工夫という点で三池作品に大分及ばず、余り面白くない。

しかし、アメリカで作られる“西部劇もどき”は本場ウェスタンではなくマカロニ・ウェスタンもどきなのかねえ。

対立するグループを全滅させた暗殺集団の最強剣士チャン・ドンゴンが、最後に生き残った乳飲み子を殺さなかったことから仲間に追われることになり、やがてアメリカ西部に辿りつくと、今は亡き旧友が指導していた妙齢美人ケイト・ボスワースに強制的にクリーニング屋を手伝わされるうち、その剣術の実力を知られた彼女に戦い方を教え始める。彼女は何年か前に家族を皆殺しにした大佐ダニー・ヒューストンへの復讐を行に移すべく練習に励み、再び徒党を率いて現れた大佐に向かって行く。同じ頃チャンを倒す為に暗殺集団が海を渡り、対決する二組の前に現れる。

この映画では敵の敵はやはり敵なので、三者が激しく入り乱れて戦うわけだが、チャンバラと銃撃の面白さを味わうというにはチャンバラ組が圧倒的に強くて思ったほど見せ場にならず、VFXで誤魔化しただけの迫真性のない闘いが延々25分も続く。

そもそも“悲しき笛”という名称の暗殺集団が何故ライバルの最後の生き残りである赤子を助けただけの男を海外まで追うのか、市井に生きる僕には解らない。赤子は教える者がいない以上暗殺集団にとって何の危険でもないのに、“裏切った”として追う必要があるのか。韓国人や日本人の好きな精神論だけで闘うことくらい互いに意味のないことはないであろう。

しかし、赤ん坊の“演技”には本当に感心した。これほど演技のできないはずの赤ん坊の表情をショットごとに適切に当てた映画を僕は他に知らない。

ヒッチコック曰く、「理由のない殺しはつまらない」と。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2013年08月08日 02:46
日本の時代劇もそうですが、若者受けを狙ったというか・・・目新しさを出そうとした結果、珍奇な作品が増えてきた気がします。
このあいだ読んだライトノベルのイラストの女性の着ものの襟元が逆だったのには驚きました。
編集者も若いから気が付かなかったのでしょうね。
まあ、ミニスカートみたいに丈の短い浴衣も出て来てますからね。
オカピー
2013年08月08日 22:10
ねこのひげさん、こんにちは。

乱暴な言い方をすれば、全てお話のゲーム化ですね。
僕はゲーム感覚は歓迎しているのですが、ゲームそのものはつまらないと思っておるのです。
ゲーム感覚とゲームそのものは全然違いわけですが、作る方がこの二つの区別が出来ていないのじゃないのかな。

>着ものの襟元
おおっ、僕なら気がつかなかったかもしれません。ははっ^^

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