映画評「私が、生きる肌」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2011年スペイン映画 監督ペドロ・アルモドバル
ネタバレあり

ペドロ・アドモドバルは暫く肌に合わないと思っていたが、「オール・アバウト・マイ・マザー」で一皮剥けた後は、依然好悪の激しい内容と作風ではあるものの、好調を維持している。

この新作は、ポスターからフランス怪奇映画「顔のない眼」(1959年)を確実に思い出させるが、実物を見るとその要素にアルフレッド・ヒッチコック「めまい」(1958年)の強制変身の偏執性を加えた感じである。そう言えば、前作の「抱擁のかけら」も「めまい」への意識を感じた。きちんとした原作(ティエリ・ジョンケ)があるので偶然かもしれないが、いずれにせよ、興味深い。

最先端の人工皮膚製造の技術を持つ形成外科医アントニオ・バンデラスが、自らの豪邸の一室にヌード色のタイツを身にまとった美女エレナ・アヤナを監禁している。家にはほかに老家政婦マリサ・パレデスと他の使用人数名がいる。

とうのがおよそ三分の一までのお話で、追い出された他の使用人たちがパレデスおばさんのぐうたら息子とすれ違う場面の感覚など正に映画的に秀逸、ここからお話が急展開することになる。

屋敷に強引に入りエレナを強姦したぐうたら息子は結局戻って来たバンデラスに殺され、パレデスおばさんはバンデラスが息子であり、殺された男が種違いの弟であることを彼女に告げる。
 映画はここで6年前に戻り、バンデラスが妻を自殺で失った後娘ブランカ・スアレスが結婚披露宴の後ラリった若者ジャン・コルネットに強姦されて精神に異常をきたした為、復讐の為に若者を拉致監禁、目的を知らない同僚医師達と性転換手術を施した後、人工皮膚で体を覆って亡き妻そっくりの女性に作り変えてしまう。これがエレナの正体である。

終盤は再び現在に戻っての一波乱なり。幕切れについては伏せておくが、一種のSF怪奇劇風性倒錯趣味で興味を喚起するだけでなく、心と肉体に関して少々哲学的な考察を加え、相当面白い。

お目目の大きなエレナ嬢も可愛らしいだけでなく見事な好演。正体が判ってから目付きにちょっとした“男”を感じさせるあたり卓抜した演技だった。

スペインにも可愛い娘がいるです。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 4

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス ナイス ナイス

この記事へのコメント

vivajiji
2013年08月11日 15:15
酷暑の中でも貴宅は連日の記事UP、
深くコウベを垂れております私。^^

「トーク・トゥ・ハー」以来
爪出し入れしながらでも(笑)
彼の作品は虎視眈々と鑑賞。
同じ倒錯具合でも本作の手ざわりは
好感度けっこうなものでした。
独特の映像は健在。
プロフェッサーは言及なさって
いらっしゃらなかったけれど
アルモドバル氏、音楽センスとその
チョイス、ちょいと捻って麗しく~(^ ^)
オカピー
2013年08月11日 21:23
vivajijiさん、こんにちは。

いやいや、ご粗末なものを垂れ流して恥ずかしい次第。
好きなら、人間、大概のことはできるようです。

>「トーク・トゥ・ハー」
あっちもこっちも変態でした(笑)
余りに面白かったので、星の数抑えてしまいましたよ^^

>音楽センス
音楽好きだけど・・・
TVの音声ではやはりダメでして、先日の「裏切りのサーカス」と言い、やはりコンポに繋いだレベルで初めて印象に残るのでしょうね。
映画館は言うに及ばず。
そうか、ザ・ピーナッツでしたか(笑)
ねこのひげ
2013年08月13日 03:03
アントニオ・バンデラスも妙な映画に出るものだと思っておりましたが、スペインだからかな?
スペイン美人は濃厚な美人が多いですな。
情熱的でありながら濃厚な不気味さがありました。
オカピー
2013年08月13日 22:33
ねこのひげさん、こんにちは。

>バンデラス
若い時にアルモドバルの映画に出たことがあるですよ。

スペイン女性は、ごついイメージがあったのですが、ペネロペ・クルスでイメージが大分変りました。

この記事へのトラックバック

  • 私が、生きる肌

    Excerpt: あなたは、 これを愛と呼べるか―― 原題 LA PIEL QUE HABITO/THE SKIN I LIVE IN 製作年度 2011年 製作国・地域 スペイン 上映時間 120分 原作.. Weblog: to Heart racked: 2013-08-11 13:32
  • 私が、生きる肌

    Excerpt: まず、ペドロ・アルモドバルさんの傑作と言われている「トーク・トゥ・ハー」。 ご反論は多々ございましょうけれど 若きオナゴをまさに舐めるように“お世話”なすったあの介護 ... Weblog: 映画と暮らす、日々に暮らす。 racked: 2013-08-11 15:02
  • 『私が、生きる肌』

    Excerpt: □作品オフィシャルサイト 「私が、生きる肌」 □監督・脚本 ペドロ・アルモドバル □原作 ティエリー・ジェンケ □キャスト アントニオ・バンデラス、エレナ・アナヤ、マリサ・パレデス、ジャン・コ.. Weblog: 京の昼寝~♪ racked: 2013-08-11 20:06
  • 『私が、生きる肌』(アルモドバル作品)

    Excerpt: (原題:La piel que habito) ----これ、ペドロ・アルモドバルの映画だよね タイトルからして、かなりセンセーショナルだけど…。 「うん。 でも、このタイトル(邦題)は 実に.. Weblog: ラムの大通り racked: 2013-08-12 11:01
  • 形成外科医の異常な愛情~『私が、生きる肌』

    Excerpt:  LA PIEL QUE HABITO  THE SKIN I LIVE IN  皮膚移植の世界的権威である形成外科医のロベル(アントニオ・バンデラス) は、郊外の豪.. Weblog: 真紅のthinkingdays racked: 2013-08-14 23:08
  • 「私が、生きる肌」

    Excerpt: なんともいえないヘンな味? Weblog: 或る日の出来事 racked: 2013-10-31 22:51